UNEMPLOYED ECONOMICS

失業中で暇な人が経済学を学んでいくブログです。

放送大学『財政と現代の経済社会('19)』第5~6回

録画しておいた放送大学『財政と現代の経済社会('19)』の第5~6回を視聴しました。

 

2013年の社会支出(対GDP比)は、日本22.69%に対して、アメリカ19.10%、イギリス22.76%、ドイツ26.11%、スウェーデン27.81%、フランス31.75%となっており、アメリカよりは支出が多いですが、ヨーロッパ諸国よりは支出が少ないことがわかります。

ヨーロッパ諸国は「家族」向けの支出が日米より多くなっており、日本は「高齢」「保健」向けの支出、つまり、「年金・医療・介護」で支出の約8割を占めていることが特徴的です。

 

この講義では『日本の社会保障』(広井良典著、岩波新書)を基に、福祉国家を租税中心の「普遍主義モデル」、社会保険中心の「社会保険モデル」、民間保険中心の「市場重視モデル」に分類していました。

普遍主義モデルは北欧諸国やイギリス、社会保険モデルはドイツやフランス、市場重視モデルはアメリカが典型例です。

 

 

日本の社会保障制度は、1961年に全市町村で「国民健康保険」、自営業者らを対象とする「国民年金」がスタートして「国民皆保険・皆年金」が実現しました。

1983年には主に75歳以上の高齢者向けに「老人保健制度」がスタートし、2008年からは「後期高齢者医療制度」となっています。

1986年には全国民共通の年金として「基礎年金制度」がスタートし、日本の社会保障制度は社会保険モデルからスタートして、普遍主義モデルへと近づいているという特徴があります。

 

日本の年金制度は、いわゆる1階部分として「国民年金(基礎年金)」、2階部分として「厚生年金保険」、2・3階部分として「国民年金基金」など、3階部分として「厚生年金基金」などの制度があります。

国民年金の加入者は、自営業者などの「第1号被保険者」、会社員・公務員などの「第2号被保険者」、第2号被保険者の配偶者である「第3号被保険者」に分けられます。

日本の場合、現役時代に積み立てた年金を老後に受け取る「積立方式」でスタートし、現在では現役世代が払い込んだ保険料を高齢者に支給する「賦課方式」へと移行しています。

なんとなく積立方式の方が良いように思ってしまいますが、積立方式だとインフレになったときに十分な年金が支給できなくなってしまいます。

日本でもオイルショック時の高インフレを経験して、積立方式は維持できなくなって賦課方式へと移行したようですね。

賦課方式を基本としつつ、「年金積立金」を運用することで積立方式のメリットも生かすという方法になっているわけで、これはこれで理にかなった制度になっているのかなと思います。

 

日本の医療保険制度は、自営業者などの「国民健康保険」、中小企業などの「協会けんぽ」、大企業などの「健康保険組合」、公務員などの「共済組合」があり、65~74歳の前期高齢者を対象として「前期高齢者財政調整制度」で財政調整が行われています。

75歳以上の後期高齢者は、独立した医療保険制度である「後期高齢者医療制度」に加入するということになります。

 

日本の介護保険制度は2000年にスタートし、市町村が保険者となって公費50%・介護保険料50%で運営されています。

40歳以上が被保険者となり、65歳以上の「第1号被保険者」、40~64歳の「第2号被保険者」に分けられ、原則として1割負担で介護給付を受けることができるわけですね。

 

私は、日本の「国民皆保険・皆年金」は世界に誇るべき社会保障制度なのではないかと思っています。

少子高齢化の進展によって制度の維持が難しくなっていますが、誰もが病気になったら医療を受けられて、誰もが高齢者になったら年金を受け取れるというのは、理想的な社会なのではないでしょうか。

ときどき「年金制度は維持できないから、廃止してこれまで払った保険料を返還しろ!」などと主張する人がいますが、どう考えても廃止するよりは、維持できるように知恵を絞った方が良いのではないかと思います。

病気になったり、高齢者になったりして、医療・年金・介護を必要とするようになるリスクは誰にでもあり、これに個人で備えることができるという人はよっぽどの資産家だけでしょう。

リスクを広く薄く国民全体に分散すれば、個人で備えるよりも少ない負担でリスクに備えることができます。

 

ということは、消費税収をうまく活用して社会保障制度を維持したほうが、消費税減税・廃止よりよっぽど良いのではないでしょうか?

消費税減税・廃止は非常に耳触りの良い主張ですが、社会保障を維持するためにどれだけの負担を受け入れるべきか、国民一人ひとりきちんと考える必要があるのではないかと思います。