UNEMPLOYED ECONOMICS

失業中で暇な人が経済学を学んでいくブログです。

放送大学『財政と現代の経済社会('19)』第3~4回

録画しておいた放送大学『財政と現代の経済社会('19)』の第3~4回を視聴しました。

財政学の「経費論(財政支出論)」「租税論」「公債論」「予算論」の4分野のうち、第3回からは経費論(財政支出論)を扱うことになります。

 

私的財には、「人々がその財を使用できないようにすることができる(排除性)」「ある人がその財を使用することによって、他の人がその財を利用できる量が減少する(競合性)」という性質がありますが、公共財には非排除性・非競合性という性質があります。

ですから、「ただ乗り(フリーライド)」の問題が出てくるので、公共財は市場メカニズムではうまく供給されず、政府が供給する必要があるのですね。

 

かつての日本では、公共投資による社会資本整備が盛んに行われていたのですが、日本の産業構造が変化したり、経済がグローバル化したりしたことにより、公共投資乗数効果は低下してしまいました。

経済企画庁(現内閣府)の経済モデルによると、1967年のパイロットモデルでは、1年目の乗数が2.17、2年目の乗数が4.27、3年目の乗数が5.01となっていました。

高度経済成長期に公共事業を行えば、かなりの経済効果が得られていたわけですね。

しかし、1996年の計量委員会10次では、1年目の乗数が1.30、2年目の乗数が1.45、3年目の乗数が1.24となっています。

もはや公共事業を行っても、その経済効果は限られているということなのですね。

 

公共事業に対して、社会保障や医療・保健の社会経済効果はどのくらいあるのかというと、1兆円の需要=投資に対する生産効果は、公共事業が2兆8091億円なのに対して、社会保障が2兆7164億円、医療・保健が2兆7373億円でほとんど変わりません。

1兆円の需要=投資に対する雇用効果は、公共事業が20万6710人なのに対して、社会保障が29万1581人、医療・保健が22万5144人でより多くの雇用を生み出します。

1兆円の需要=投資に対する粗付加価値(GDP効果)は、公共事業が1兆3721億円なのに対して、社会保障が1兆6416億円、医療・保健が1兆4669億円でより多くのGDPを生み出します。

 

現在の日本では公共事業を行うよりも、医療や介護や福祉や教育などにお金をかけたほうが経済効果が大きいということがわかりますね。

ですから、1990年代に盛んに公共事業が行われたにもかかわらず、日本経済は低迷を抜け出すことができず、2000年代以降は公共事業が削減されているということなのです。

ネット上には「政府が公共事業を行えば、日本経済は成長する!」と言っている人がたくさんいますが、上記のことを知っていれば、これはまったく馬鹿らしい主張であることがわかります。

それどころか、高度経済成長期に作られた設備の耐用年数が切れつつあるので、新たな公共事業ではなく、設備の更新にこそ予算を投じるべきです。

 

昔だったら、新幹線や高速道路を開通させれば、どんどん日本経済が成長したんでしょうけどねぇ・・・。

これから日本経済を成長させるためには、政府は人的資本への投資(=教育)を重点的に行ったほうがよいのではないでしょうか。