UNEMPLOYED ECONOMICS

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放送大学『財政と現代の経済社会('19)』第1回

録画しておいた放送大学『財政と現代の経済社会('19)』の第1回「財政学と現代日本の財政」を視聴しました。

 

主任講師は諸富徹(もろとみ・とおる)京都大学大学院経済学研究科教授で、主に財政学の基礎知識について解説していく授業のようです。

日本国政府の財政状況を2018年度一般会計予算で見ると、歳出面では基礎的財政収支対象経費が約74.4兆円、国債費が約23.3兆円、歳入面では租税及び印紙収入が約59.1兆円、公債金が約33.7兆円となっています *1

つまり歳出の約6割しか税収がないということになり、この授業でも「一般会計における歳入・歳出の推移」というグラフを用いて、そのような説明がされていました。

これがいわゆる「ワニの口」と呼ばれているものなのですが、これはちょっとおかしいですよね(汗)

歳出には国債費が含まれているので、歳出と税収を比べるのではなく、基礎的財政収支対象経費と税収を比べるべきです。

基礎的財政収支対象経費と税収を比べると、約15.3兆円税収が足りていないのだということがわかります。

 

では、国は何にお金を使っているのかというと、社会保障関係費が約33.0兆円で歳出全体の33.7%を占めています。

それに対して基幹3税の税収は、所得税が約19.0兆円、消費税が約17.6兆円、法人税が約12.2兆円となっています。

高齢化の進展によって社会保障関係費が膨らんでいき、そして景気対策のために減税を繰り返しているので、国債残高が積み上がってしまっているのですね。

いくら「国の借金」が膨らんでいるからといって、小泉内閣の時のように「増税せずに社会保障関係費の伸びを抑制する」という政策を行うと、社会的弱者にとっては非常に厳しい世の中になってしまいます。

やはり社会保障制度を維持するために、それなりの負担を受け入れざるを得ないという状況のようですね。

 

そもそも財政法第4条では、『国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。』と定められているので、国は借金で財政運営してはいけないことになっています。

ただし書きとして、『但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。』と定められているので、四条国債建設国債)は発行することができますが、本来は特例国債赤字国債)は発行することができません。

赤字国債を発行するためには、1年限りの特別法である特例公債法を成立させなければならないわけですね。

しかし、民主党政権下で自由民主党が特例公債法の成立を阻止し、国家財政を破綻寸前に追い込むという戦術を繰り返したため(汗)、現在では5年分の予算について赤字国債の発行を認めるという法律になっています。

 

いわゆる「国の借金」について興味のある人は、まずは現実を知るところから始めたほうがよいのではないかと思います。

「国の負債だけを見て、資産を見ていない!」などと言う人がいますが、純債務残高対GDP比で見ても日本は先進国最悪レベルとなっています。

すぐに財政破綻するというわけではないのですから、財政問題から目を背けず冷静に議論していくことが重要なのではないでしょうか。

*1:四捨五入しているため、端数は一致していません。