UNEMPLOYED ECONOMICS

失業中で暇な人が経済学を学んでいくブログです。

『マンキュー経済学Ⅱ マクロ編(第3版)』第Ⅳ部読了

『マンキュー経済学Ⅱ マクロ編(第3版)』(N・グレゴリー・マンキュー著、東洋経済新報社)の第Ⅳ部「長期における貨幣と価格」を読み終わったので、内容を軽くまとめておきたいと思います。

第11章については既にまとめたので、今回は第12章「貨幣量の成長とインフレーション」ですね。

 

 

この章も第11章に続いて、なんだか説明がおかしいように感じます。

 

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私は「貨幣数量説(quantity theory of money)」は正しいと思いますが、それでも、第1節「インフレーションの古典派理論」で展開されている議論はなんか変ですよね(汗)

 

「貨幣市場において、貨幣需要と貨幣供給のバランスによって貨幣価値(=物価水準)が決まる。貨幣供給量は中央銀行によって固定されているので、貨幣価値によって貨幣需要が貨幣供給と均衡するように調整される」という話なのですが、ここで貨幣需要量に影響を与えるのは物価水準であるということになっています。

ということは、物価水準によって貨幣需要量が決まり、貨幣需要量によって物価水準が決まる・・・なんだ、こりゃ???(笑)

これでは、「物価水準は物価水準によって決まる」と言っているだけなので、何の説明にもなっていません・・・。

 

さらに、貨幣供給量が中央銀行によって固定されているという前提が、ちょっとおかしいですよね。

市中銀行が貨幣創造(信用創造)することによって貨幣を供給しているのですから、中央銀行が貨幣供給量を固定することはできないのではないでしょうか。

貨幣需要量が増えるということは、要は貸付資金需要が増えるということなので、市中銀行が貸し出しを行うことでマネーストックを供給し、それに応じて中央銀行がマネタリーベースを供給する。

管理通貨制度を採用している場合、貨幣需要と貨幣供給のバランスが崩れるということは、長期的には起こらないのではないでしょうか。

 

ここで忘れてはならないのが、政府が国債を発行して民間金融機関が引き受け、政府が財政支出することによってもマネーストックが増えるということです。

しかし、貸付資金需要がないときに、政府が財政支出してマネーストックを増加させても、「貨幣の流通速度(velocity of money)」が低下するだけで物価水準は上がらないのではないでしょうか。

バブル崩壊後の日本経済は、マネーストックを増加させても貨幣の流通速度が低下してしまう「流動性の罠(liquidity trap)」に陥ったということなのだろうと思います。

 

この教科書にも貨幣の流通速度のグラフが載っているのですが、名目GDP、M2+CD、流通速度が同じスケールで示されているので何が何だかわからない。

日本の場合、名目GDPとM2+CDの伸びが大きく乖離しているので、明らかに流通速度が低下しているはずです。

同じスケールだと変化が読み取れないので、どう考えても流通速度については、第二軸で表示する必要があると思うのですが・・・。

日本の貨幣流通速度については、以前に私もグラフにしていますので、よろしければ併せてご覧ください。

 

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では、インフレやデフレはどのようにして起きるのかというと、貨幣的要因とは別に、実物的要因、つまり、総需要と総供給のバランスが崩れることによって起きるのだろうと思います。

生産年齢人口が増加しているときには、総需要が総供給を上回って慢性的にインフレになるし、生産年齢人口が減少しているときには、総需要が総供給を下回って慢性的にデフレになる。

政府が財政支出することによって総需要を増やすという方法も考えられますが、政府債務を無限に増加させることは不可能であるため、所得再分配(富の再分配)によって総需要を増やすという方法がよいのではないかと思います。

以前に取り上げたジョン・メイナード・ケインズJohn Maynard Keynes, 1883-1946) が1937年に行った講演「Some economic consequences of a declining population(人口減少の経済的帰結)」でも、ケインズは同じような解決策を示しています。

 

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今のところ、この教科書に書いてあることはいろいろおかしいように感じていますが、勉強が進むにつれて次第に解消していくのかもしれませんね。

とりあえずは首をひねりつつ、先を読み進めていこうと思います。