UNEMPLOYED ECONOMICS

失業中で暇な人が経済学を学んでいくブログです。

MMT(現代貨幣理論)は「いくらでも国の借金を増やしていい」という理論ではない

前々回の記事では「MMT(現代貨幣理論、Modern Monetary Theory)」について言及しているので、自分の考えを少し書き残しておきたいと思います。

 

unemployed-economics.hatenablog.jp

 

私はMMTというよりは、「内生的貨幣供給理論」を支持しています。

MMTは内生的貨幣供給理論を内包しているので、この部分については問題なく賛同できますが、その他の部分について賛同できるかどうかはわかりません。

 

「租税貨幣論」については、ちょっとどうなのかな~と思っています。

私たちが日本円を使っているのは、日本円で納税しなくてはならないからでしょうか?

国税通則法第34条について、国税庁は『この条第1項の「金銭」とは、強制通用力を有する日本円を単位とする通貨をいい、小切手その他の証券を含まない。』とする通達を出しているので、私たちは基本的に日本円で納税しなくてはなりません。

しかし、もし日本がハイパーインフレーションに陥ったとすると、いくら日本円が法定貨幣であっても、いくら日本円で納税する必要があっても、私たちは通常の取引にアメリカドルを使うのではないでしょうか。

 

もちろん、租税貨幣論は通貨として通用するためにこそ租税が必要だと言っているわけで、これはこれで間違っていないような気もするのですが、それだったら「信用貨幣論」で説明した方がスッキリするようにも思います。

貨幣が貨幣として成り立つために決定的に重要なのは、「信用」だと思うんですけどねぇ・・・。

仮に政府が徴税しなかったとしても、日本円が信用されている限り通用するのでは?

通貨発行の見合い資産の価値が失われて信用が維持できなくなるので、政府は徴税しなければならないということなのでは?

もし政府が通貨発行すると、発行した通貨は政府にとっては本質的に「負債」であるため、政府は高インフレで負債を圧縮したいという欲求に駆られることになります。

本当は、通貨として通用させるために徴税する必要があるのですが、みんな税金を払うのは嫌なので(笑)、どうしてもインフレが放置されがちになってしまう。

高インフレは経済にとってマイナスなので、これでは国民のためになりません。

ということは、通貨を発行する部門として、中央銀行は政府から独立していなければならないということになります。

 

まあ、いずれにせよ確かなのは、MMTは「いくらでも国の借金を増やしていい」という理論ではないということです。

もし、「通貨発行して徴税しない」ということをしてしまうと、通貨の価値が維持できなくなって通用しなくなってしまうわけですね。

これは当たり前の話で、政府が通貨発行だけで財源を賄えるのであれば、そもそも税金を徴収する必要は無くなるので「無税国家」が誕生します。

税金が無くなれば「死荷重」も無くなるので、経済はさらに効率的になるでしょう。

このような理論を構築できれば、ノーベル経済学賞間違いなしです(笑)

残念ながら、貨幣数量説で考えても、信用貨幣論で考えても、租税貨幣論で考えても、やっぱり通貨を発行しすぎればインフレになってしまうのであり、主流派経済学者も非主流派経済学者も「政府債務を無限に増加させることができる」とは誰も考えていないのですね。

 

意見が分かれるのは、「インフレになるまでは政府債務を増加させてよい、あるいは、増加させるべき」かというところだろうと思います。

私は、「インフレになると国民の負担となってしまうので、政府債務をあまり増加させるべきではない」と考えています。

もちろん、絶対に増加させてはいけないということではなく、非常時(戦争・大災害など)に増加するのは仕方がありませんし、景気後退期には増加させるべきでしょう。

やはり、景気後退期に財政出動して、景気拡張期に財政再建を目指すという「反景気循環的財政政策」がベストなのではないかと思います。

長期的には、名目GDPの増加率と政府債務の増加率が同じ程度なのであれば、あまり問題はないのではないかと考えています。

 

残念なのは、MMTが「国の借金なんてウソだ!」と主張している人たちによって広められていることですね。

これでは「MMTはトンデモ」という印象を持たれてしまい、正しい理解につながらないのではないかと危惧しています。

私もまだまだ理解が足りていないと思うので、ポストケインズ派経済学についても勉強していきたいと思っています。