UNEMPLOYED ECONOMICS

失業中で暇な人が経済学を学んでいくブログです。

イデオロギーをブッ飛ばせ!!

前回の記事では社会民主主義について言及しているので、ちょっと政治思想についてまとめておきたいと思います。

 

現代の政治思想には、ざっくり分けて「自由主義(liberalism)」と「社会主義(socialism)」の二大潮流があります。

そして、自由主義は「新自由主義(neoliberalism)」と「社会自由主義(social liberalism)」に、社会主義は「社会民主主義(social democracy)」と「共産主義(communism)」に分かれています。

経済学との関連で言えば、新自由主義に対応しているのが「新古典派経済学(neoclassical economics)」、社会自由主義に対応しているのが「ケインズ経済学(Keynesian economics)」、共産主義に対応しているのが「マルクス経済学(Marxian economics)」ということになります。

 

そして、政治思想の傾向を二次元座標上に表したものが「ポリティカルコンパスpolitical compass)」です。

有名なのはデヴィッド・ノーラン(David Fraser Nolan, 1943-2010)の「ノーランチャート(Nolan chart)」ですが、ノーラン自身がリバタリアン自由至上主義者、libertarian)であるためか、分類がちょっとおかしいんですよね(汗)

 

・・・というわけで、私が考えているポリティカルコンパスを図にしてみました。

 

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縦軸は「個人の利益を重視/全体の利益を重視」、横軸は「経済的自由を重視/経済的平等を重視」という対立軸になっていて、だいたいノーランチャートと同じような分け方になっています。

ノーランチャートは「自由」に対する考え方で分けているのに対して、私の場合は「経済」に対する考え方で分けていると言えるかと思いますが、どちらにしろ対立軸はそんなに変わりがありません。

右上の領域には新自由主義、左上には社会自由主義社会民主主義、左下には共産主義、右下には国家資本主義や国家社会主義といった政治思想が当てはまります。

一般的には右上の領域が「中道右派」、左上が「中道左派」、左下が「左翼」、右下が「右翼」と呼ばれているわけですが、強引に一次元で表現しているので、右下が一番右に来て、左下が一番左に来ているわけですね。

右翼活動家の経歴を見ると元々は左翼活動家だったりすることがありますが、一次元で考えると一番左から一番右へ大転向したように見えますが、きちんと二次元で考えれば、右翼と左翼は「全体の利益を重視」という価値観で共通していることがわかります。

 

自由主義社会主義」という対立軸で考えると、右半分の領域が自由主義、左半分が社会主義なのではなく、右上の三角の領域が自由主義、左下の三角が社会主義となります。

つまり、本当の対立軸は「右/左」ではなくて、「右上/左下」だったのですね。

ということは、左上と右下の領域には、自由主義社会主義が混在しているということになります。

 

これを「保守/リベラル」という対立軸で理解しようとすると、まったく訳が分からなくなってしまいます。

まず、何が「保守」であるかは、時代や国によって変わります。

戦前の日本の政治は右下の領域、戦後は左上、現在は右上なので、右下の領域の人たちにとっては戦前に回帰することが「保守」でしょうし、左上の人たちにとっては戦後民主主義を守ることが「保守」でしょうし、右上の人たちにとっては市場原理を徹底させることが「保守」でしょう。

これが中国に行けば、マルクス主義毛沢東思想を今でも信奉している人たちが「保守」になるわけです。

そして、「リベラル」を自由主義という意味でとらえると右上の三角の領域になるし、社会自由主義という意味でとらえると左上の領域になるし、進歩主義という意味でとらえるともう一つ軸を追加しなければならなくなります。

先進国では、右上と左上の領域の政党で二大政党を形成していることが多いので、「中道右派中道左派」か、あるいは単に「右派/左派」といった分け方をするべきだろうと思うのですが、「保守/リベラル」といった分け方をしようとするので意味不明になってしまっているわけですね。

 

では、どの政治思想が正しいのかというと、経済的自由と経済的平等はどちらも重要だし、個人の利益と全体の利益はどちらも重要なので、どれか一つが正しいということはありません。

要するに、どれか一つの考えに偏ると良くないということです。

経済政策についても、「自由主義的な政策か? 社会主義的な政策か?」「保守的な政策か? リベラルな政策か?」などとイデオロギー的に考えるのではなく、ストレートに「その政策は国民を豊かにするのか?」と考えればよいのではないかと思います。

自由主義的な政策だろうが、社会主義的な政策だろうが、保守的な政策だろうが、リベラルな政策だろうが、国民のためになるのであれば実行すればよいし、国民のためにならないのであれば実行しなければよいというだけのことです。

 

私自身は社会自由主義を支持していますが、自分の政治思想に固執することなく様々な考え方を取り入れて、バランスよく政治や経済について考えていければいいなと思っています。

 

※注:2019年3月14日にAmebaブログにて投稿した記事を転載しています。