UNEMPLOYED ECONOMICS

失業中で暇な人が経済学を学んでいくブログです。

『マンキュー経済学Ⅰ ミクロ編(第3版)』読了

『マンキュー経済学Ⅰ ミクロ編(第3版)』(N・グレゴリー・マンキュー著、東洋経済新報社)を読み終わったので、内容を軽くまとめておきたいと思います。
第Ⅵ部までは既にまとめたので、今回は第Ⅶ部「より進んだ話題」ですね。

 

 

ミクロ経済学を学ぶ意義がよくわかる文章があったので、少し引用してみたいと思います。

 

 ミクロ経済学では、市場の成功と失敗の間の緊張関係が最も重要である。第7章では、需要と供給の均衡は、社会が市場から得ることのできる総余剰が最大になるという意味で効率的であることを学んだ。アダム・スミスの見えざる手はその最高位に君臨するだろう。その結論は、外部性(第10章)、公共財(第11章)、不完全競争(第15章から第17章)、貧困(第20章)を学ぶことで修正された。こうした市場の失敗の例により、政府が時には市場の成果を改善することがあることを示した。

 

需要と供給のバランスによって価格が決まり、価格によって需要と供給が均衡するように調整されるという市場メカニズムは、誰かが全体を統制しているわけではないにもかかわらず、効率的な資源配分を実現してくれます。

しかし、いくら優れているといっても万能なわけではなく、環境汚染に代表されるような「負の外部性」の問題、「フリーライダー(ただ乗り、free rider)」が出てくるので公共財がうまく供給されないという問題、そもそも市場のほとんどは理想的な完全競争市場ではなく、不完全競争市場であるという問題、市場は効率的な資源配分を実現するが、公平な資源配分を実現するわけではないので、必然的に不平等が生まれてしまうという問題などがあります。

これらの問題を政府が市場に介入することにより改善できる場合がありますが、では政府が万能かというと、こちらも万能なわけではありません。

この教科書では、「コンドルセパラドックス(Condorcet paradox)」、「アローの不可能性定理(Arrow's impossibility theorem)」、「中位投票者定理(median voter theorem)」について取り上げていて、民主主義的な選挙システムが不完全なものであることを説明しています。

 

この『マンキュー経済学Ⅰ ミクロ編(第3版)』を読んでみてわかったことは、「市場メカニズムは優れているが、万能ではない。政府が市場に介入することにより状況を改善できる場合があるが、政府もまた万能ではない」ということです。

ということは、「無政府主義(anarchism)」や「共産主義(communism)」はあり得ないだろうということですね。

市場メカニズムを重視しつつ、政府が必要に応じて市場に介入する」ということになりますが、これがさらに、より市場を重視していこうという立場と、より政府を重視していこうという立場に分かれているわけですね。

経済学派で言えば、前者に対応しているのが「新古典派経済学(neoclassical economics)」で、後者に対応しているのが「ケインズ経済学(keynesian economics)」ということになります。

政治思想で言えば、前者に対応しているのが「新自由主義(neoliberalism)」で、後者に対応しているのが「社会自由主義(social liberalism)」ということになります。

経済学と政治思想の対応関係については、以前「「保守」の対義語は「リベラル」ではない」という記事にまとめていますので、よろしければ併せてご覧ください。

unemployed-economics.hatenablog.jp

 

社会主義においても、今では市場経済を重視する「社会民主主義(social democracy)」が主流となっているので、先進国ではおおむね「新自由主義社会自由主義」、あるいは「新自由主義社会民主主義」という対立軸で二大政党が形成されています。

日本の場合、新自由主義的な立場をとる政党としては自由民主党がありますが、社会自由主義的な立場をとる立憲民主党や国民民主党社会民主主義的な立場をとる社会民主党などの勢力は小さいので、新自由主義的な政策が実施されやすい状況にあるわけですね。

 

経済学と政治は密接につながっているので、経済学を学ぶことは政治について深く考えることにつながります。

経済に興味がある人はもちろんのこと、政治に興味がある人にとっても、経済学を学ぶことは非常に有意義だということですね。

私も、小泉内閣で「聖域なき構造改革」が行われたり、安倍内閣で「アベノミクス」が行われたりしたことをきっかけにして経済学に興味を持ったのですが、「経済学を勉強しなきゃ!」という方向性はどうやら間違っていなかったようです。

あんまり勉強は進んでないですけど、少しずつでも理解が深まっていけばいいなと思っています。

 

※注:2019年2月4日にAmebaブログにて投稿した記事を転載しています。

 

※追記:ポリティカルコンパスを作成して政治思想についてまとめてみましたので、よろしければ併せてご覧ください。

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