UNEMPLOYED ECONOMICS

失業中で暇な人が経済学を学んでいくブログです。

「国の借金」の正しい解決法

いまだにネット上には、「国の借金なんてウソだ! 日本に財政問題など存在しない!!」などと主張している人たちがいるみたいですね(笑)

 

だから、国がいくら借金しても通貨を発行して返済すればよいのであれば、税金なんて廃止して通貨発行で財源を賄えばいいでしょ?

そもそも、国債を発行して中央銀行が購入するなんていう面倒くさいことやめて、最初から国が通貨発行すればいいでしょ??

じゃあ、なんで世界中のどこにも、そのようなやり方で国家運営をしている国(無税国家)が存在しないの???

 

何というか、小学生でもわかるような話だと思うんですけどねぇ・・・(疲)

こんな馬鹿馬鹿しい話に飛びつく人が増えているのは、いわゆる「国の借金(中央政府債務)」についての過剰な恐怖心が背景にあるのではないかと思います。

人間はやはり弱い存在なので、危機的な状況になると馬鹿げた楽観論を信じ込んでしまうんですよね。

 

「国の借金」については、過剰な悲観論に陥る必要も、馬鹿げた楽観論を信じる必要もありません。

今日中に1000兆円返済する必要があるのであれば大ピンチですが、そんな必要があると言っている人は誰もいません。

「国の借金」が問題なのは、政府が財政破綻してしまうからではなくて、インフレになったときに結局は国民の負担となってしまうからです。

今のところはまだ大丈夫なのですから、これ以上状況が悪化しないようにコントロールしていけばよいというだけの話なんです。

 

具体的には、「国の借金」が増加するスピードより、経済が成長するスピードのほうが速いのであれば問題ありません。

例えば、実質経済成長率(実質GDPの対前年増加率)が1%、インフレ率(GDPデフレーターの対前年上昇率)が1%、よって、名目経済成長率(名目GDPの対前年増加率)が2% *1 だったとしましょう。

このとき、「国の借金」が2%増加したとしても、あまり問題はないのではないかと考えられます。

 

ところが問題なのは、景気後退期には国は財政出動しなければならないということです。

「バブルが崩壊した」とか、「アジア金融危機に襲われた」とか、「ITバブルが崩壊した」とか、「リーマン・ショックに端を発した世界金融危機に襲われた」とかいうときには、「国の借金」など忘れて国は財政出動しなくてはなりません。

ということは、景気後退期に財政出動する余地を残しておくためにも、景気拡張期には財政再建を進めておいたほうがよいということになります。

 

もし、名目経済成長率2%が維持できて、「国の借金」の増加率が1%に抑えられたとすれば、これは実質的には「国の借金」が減っていっているということになります。

まあ、はっきり言ってしまえば、毎年1%ずつ「インフレ税」で借金返済をしているというだけのことなのですが、面白いことに消費税に対しては怒り狂う人も、「インフレ税」だったら喜んで支払ってくれます(笑)

ですから、「国の借金」の増加率が名目経済成長率を下回るように、国の財政赤字をコントロールしていけばいいということなんですね。

 

ところが厄介なことに、日本では高齢者が急増しているため、放っておくと社会保障関係費が毎年1兆円ずつ増加していくという状況です。

ここで、二つの方向性が考えられます。

一つ目は、なるべく増税しなくて済むように、社会保障関係費の伸びを抑えようという方向性です。

二つ目は、なるべく社会保障関係費の伸びを抑えなくて済むように、増税しようという方向性です。

一つ目の方向性を示しているのが、いわゆる「新自由主義」と呼ばれる政治勢力です。

二つ目の方向性を示しているのが、いわゆる「社会自由主義」や「社会民主主義」と呼ばれる政治勢力です。

日本の政治は、与党が新自由主義的な傾向、野党が社会自由主義的・社会民主主義的な傾向を持っていることが多いですが、必ずしも主義・主張だけで分かれているわけではないので、選挙の時には掲げている政策をきちんと確認することが大切です。

 

要するに、一番良いのは実質GDPが増加することなんですね。

実質GDPが増加せずにインフレ率だけ上昇するのであれば、それはただ単に「インフレ税」を支払わされているというだけのことです。

いわゆるアベノミクス」がうまくいっていないと考えられるのは、インフレ率(コアCPIの対前年上昇率)2%が達成できていないからではなくて、実質経済成長率が低迷しているからなんです。

生産年齢人口が減少しているような状況では、潜在成長率が低くなってしまうので、経済成長が難しくなってきます。

となると、やっぱり国の財政赤字は削減していかなければならないということなんですね。

 

それでも、「国の借金」そのものを減らしていかなければならないということではないことがわかれば、かなり気が楽になりませんか!

「国の借金で政府が財政破綻する!」とか、「国の借金はどれだけ増やしても問題ない!」とか、間違った極論に振り回されずに、冷静な判断力を失わないことが重要なのではないかと思います。

 

※注:2019年1月29日にAmebaブログにて投稿した記事を転載しています。

*1:正確には2.01%ですが、わかりやすくするために2%としています。