UNEMPLOYED ECONOMICS

失業中で暇な人が経済学を学んでいくブログです。

『マンキュー経済学Ⅰ ミクロ編(第3版)』第18~19章読了

『マンキュー経済学Ⅰ ミクロ編(第3版)』(N・グレゴリー・マンキュー著、東洋経済新報社)の第18~19章を読み終わったので、内容を軽くまとめておきたいと思います。

 

 

財・サービスの生産に使用される投入物を「生産要素(factors of production)」と言い、もっとも重要な生産要素として労働・土地・資本が挙げられます。

労働市場においても、需要と供給のバランスによって価格(=賃金)が決まり、価格によって需要と供給が均衡するように調整されることになります。

企業は、雇用量を増やせば増やすほど生産量を増やせるというわけではなく、労働を1単位追加することによる生産量の増加分(=労働の限界生産物)は次第に減少していくことになります *1

「限界生産物×生産物の市場価格=限界生産物の価値」なので、競争企業においては、「労働の限界生産物の価値=賃金」となるまで雇用量を増加させたときに利潤を最大化することができます。

 

労働需要や労働供給が何らかの理由で変動したときには、需要と供給のバランスが崩れることによって賃金が変動し、賃金が変動することによって雇用量が調整されます。

例えば、りんご園で働く労働者の労働市場を考えてみると、移民労働者が流入してりんご園で働きたい労働者が増加すると、賃金が下落して、雇用量が増加することになります。

労働供給が労働需要を上回ることによって賃金が下落し、賃金が下落したことにより「労働の限界生産物の価値>賃金」となるので、企業は雇用量を増やすことで利潤を増やすことができるわけですね。

りんごの人気が高まってりんごの価格が上昇すると、賃金が上昇して、雇用量が増加することになります。

生産物の市場価格が上昇したことにより「労働の限界生産物の価値>賃金」となるので、企業は雇用量を増やすことで利潤を増やすことができます。

雇用量を増やそうとして企業は賃金を引き上げ、賃金が上昇したことでその賃金なら働いてもよいと考える労働者が増えるので、雇用量が増加するというわけですね。

 

これは、「新古典派経済学(Neoclassical economics)」と呼ばれる経済学派による理論です。

この理論に基づけば、労働需要と労働供給のバランスが崩れても、賃金が変動することによって雇用量が調整されるので、失業者は発生しません。

失業者が存在するのであれば、それは賃金の変動が妨げられているからなので、最低賃金法や労働組合を廃止すべきだということになります。

 

私は、この理論は間違っているのではないかと思います。

りんご園で働くのが農作業ロボットであり、企業はロボットメーカーから農作業ロボットをレンタルしているのであれば、レンタル料の変動によって農作業ロボットの需要と供給が調整されるでしょう。

しかし、労働市場で取引されているのは、ロボットではなくて人間です。

「明日から給料10%下げるね!」と言われて、「はい、そうですか。仕方ないですね」と答える人はあまり多くないと思います。

賃金を引き上げることは簡単でも、引き下げることは困難なのであれば、りんごの価格が低下したときに企業が行うのは、賃金の引き下げではなくて雇用の削減(=解雇)でしょう。

長期的には賃金が低下するかもしれませんが、賃金が変動するのには時間がかかるので、失業者が発生することは避けられません。

 

また、誰一人として同じ人間は存在しないので、労働市場は「完全競争市場(perfectly competitive market)」ではなく、「独占的競争市場(monopolistically competitive market)」のはずです。

労働市場を独占的競争市場と考えると、第19章で論じられているような所得格差がうまく説明できるのではないかと思います。

独占的競争では、製品の差別化に成功すればするほど、独占に近づいて価格を高く設定することができます。

ですから、なかなか真似できないような特殊な技能を持つ人は、自分の労働に対して価格を高く設定することができるわけですね。

独占的競争では、企業は広告を行うことで、自社のブランドの価値を高めようとします。

ですから、高学歴や難関資格を持つ人は、高学歴や難関資格によって自分の能力の高さを広告することで、自分の労働に対して価格を高く設定することができるわけですね。

 

どうやら、労働市場についてどのように考えるかによって、経済に対する見方が大きく分かれていきそうですね。

この教科書には新古典派経済学による理論しか載っていませんが、考え方が偏らないためには「ケインズ経済学(Keynesian economics)」や「マルクス経済学(Marxian economics)」ではどのように考えているのかについても、知っておく必要がありそうです。

一つの考え方を正しいと信じ込むのではなく、いろいろな考え方を比較検討することで、経済についてより良く理解することができるのではないかと思います。

 

※注:2018年12月7日にAmebaブログにて投稿した記事を転載しています。

*1:これを「限界生産力逓減の法則」といいます。