UNEMPLOYED ECONOMICS

失業中で暇な人が経済学を学んでいくブログです。

『マンキュー経済学Ⅰ ミクロ編(第3版)』第Ⅴ部読了

『マンキュー経済学Ⅰ ミクロ編(第3版)』(N・グレゴリー・マンキュー著、東洋経済新報社)の第Ⅴ部「企業行動と産業組織」を読み終わったので、内容を軽くまとめておきたいと思います。
第13~16章については既にまとめたので、今回は第17章「寡占」ですね。

 

 

一つの企業だけが参入している市場が「独占市場(monoply market)」、それに対して、多くの企業が自由に参入したり退出したりできる市場が「完全競争市場(perfectly competitive market)」と「独占的競争市場(monopolistically competitive market)」でした。

そして、少数の企業だけが参入している市場が「寡占市場(oligopolistic market)」です。

寡占市場と独占的競争市場は、どちらも独占市場と完全競争市場の中間にあたるわけですが、寡占市場を分けて考えなければならないのは、企業間の相互依存関係が発生するからです。

 

寡占市場を分析する際に必要となるのが、「ゲーム理論(game theory)」と呼ばれている学問分野です。

二つの企業だけが市場に参入している「複占(duopoly)」という状況で考えてみると、この二つの企業が共謀して「カルテル(cartel)」を形成すれば独占企業と同じように高く価格を設定できるため、お互いに利潤を最大化することができます。

しかし、どちらかの企業が裏切って生産を増やせば、その企業は利潤を増やすことができるため、二つの企業は協調することができずに生産を増やし、結果として価格が下落してしまいます。

お互いに生産を増やしていくと、価格の下落により利潤が増やせなくなるので、ある程度の生産量まで増やしたところで均衡することになります。

これが、「ナッシュ均衡(Nash equilibrium)」と呼ばれている状態です。

よって、寡占市場における生産量は、独占市場よりは多くなりますが、競争市場よりは少なくなります。

寡占市場における価格は、独占市場よりは低くなりますが、競争市場よりは高くなります。

ということは、寡占市場における「死荷重(deadweight loss)」は、独占市場よりは小さくなりますが、競争市場よりは大きくなるということですね。

 

ナッシュ均衡に名を残しているジョン・ナッシュ(John Forbes Nash Jr., 1928-2015)は、1994年にノーベル経済学賞を受賞しています。

統合失調症を患う天才数学者であるナッシュの半生を描いた映画『ビューティフル・マインド(A Beautiful Mind)』は、アカデミー賞の作品賞・監督賞・助演女優賞脚本賞を受賞しました。

私も見ましたが、現実の世界と妄想の世界が入り乱れる展開は非常にスリリングで面白いというだけでなく、統合失調症への理解を広げ、偏見の払拭にもつながる優れた映画だと思いました。

とても面白い作品なので、もしまだ見ていないのであれば、一度見てみることをお勧めします。

 

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なぜ二つの企業が協調することができなかったのかを説明してくれるのが、いわゆる「囚人のジレンマ(prisoners' dilemma)」です。

この教科書では、未登録の銃を保持していた罪で警察に捕まったボニーとクライドの例が載っています。

ボニーとクライドは実は銀行強盗を働いており、それを自白すれば無罪にしてもらえますが、もう一人は懲役20年となります。

二人とも自白すれば二人とも懲役8年となり、二人とも自白しなければ二人とも懲役1年となります。

このときボニーもクライドも、もう一人が自白するかどうかに関係なく、自白したほうが有利です。

ゲーム理論において、他のプレイヤーがどのような選択をするかに関係なく、あるプレイヤーにとって最適となる戦略を「支配戦略(dominant strategy)」と言います。

ボニーとクライドにとっては自白することが支配戦略となるので、自白しなければ未登録の銃を保持していた罪で懲役1年となるにも関わらず、二人とも銀行強盗を自白して懲役8年となってしまうのです。

 

囚人のジレンマは、二つの企業でさえ協調するのが困難であることを示していますが、この選択が繰り返し行われるとき(無期限繰り返しゲーム)には、協調の可能性が出てきます。

協調して高い価格を設定されてしまうと、独占市場の場合と同じように死荷重が増大して、社会的な弊害が大きくなってしまいます。

日本でも公共事業などの競争入札での談合がたびたび刑事事件となりますが、入札談合が独占禁止法によって禁じられているのは、企業にとっては利益になっても社会全体にとっては損失となってしまうからなのですね。

市場に参入している企業数が増えれば増えるほど、共謀してカルテルを形成することは困難になるでしょうから、市場メカニズムをうまく働かせるためにも、参入障壁を減らして市場に参入しやすい状況を作ることが重要なのかなと思います。

 

※注:2018年11月29日にAmebaブログにて投稿した記事を転載しています。