UNEMPLOYED ECONOMICS

失業中で暇な人が経済学を学んでいくブログです。

『マンキュー経済学Ⅰ ミクロ編(第3版)』第15~16章読了

かなり時間が空いてしまいましたが、『マンキュー経済学Ⅰ ミクロ編(第3版)』(N・グレゴリー・マンキュー著、東洋経済新報社)の第15~16章を読み終わったので、内容を軽くまとめておきたいと思います。

 

 

これまでは、多くの企業が自由に市場に参入したり退出したりできる「完全競争市場(perfectly competitive market)」を想定していました。

それに対し、何らかの参入障壁があって他の企業が市場に参入することができず、一つの企業が唯一の売り手であるような市場を「独占市場(monoply market)」と言います。

例えば、特許法著作権法は、発明者や著作者に一定期間の独占販売権を与えるという法律です。

また、水道事業のように、一つの企業で財・サービスを供給したほうが複数の企業で供給するよりも費用が掛からないような場合には、「自然独占(natural monopoly)」が生じることになります。

 

完全競争企業が市場支配力を持たず、市場価格をそのまま受け入れざるを得ないのに対して、独占企業は市場支配力を持ち、価格を自由に設定することができます。

しかし、価格を高く設定すれば販売量が減ってしまい、販売量を増やすためには価格を引き下げざるを得ません。

販売量を増やせば価格が下がってしまうのですから、販売量が1単位増えた時の総収入の増加分(=限界収入)は常に価格よりも低いということになります。

ですから、完全競争企業では「価格=限界収入」であったのに対して、独占企業では「価格>限界収入」となります。

 

では、独占企業が利潤を最大化するにはどうすればよいのかというと、完全競争企業と同じように、限界収入と限界費用が等しくなるような生産量を選べばよいです。

そして、市場の需要曲線を基にして、その生産量を最も高く販売することができる価格(独占価格)を設定するというわけです。

つまり、完全競争企業では「価格=限界収入=限界費用」となるのに対して、独占企業では「価格>限界収入=限界費用」となるのですね。

独占企業は限界費用を超える高い価格を設定して高い利潤(独占利潤)を得ようとするので、独占企業の生産量は社会的に効率的な生産量よりも少なくなってしまいます。

要するに、価格によって需要と供給が均衡することを阻害してしまうので、課税などと同じように「死荷重(deadweight loss)」を生じてしまうわけですね。

このように、独占には社会的な弊害があるので、政府は独占禁止法を適用して独占が生じないようにしたり、独占企業が設定する価格を規制したり、独占企業を公的所有にしたりといった対策を行うことがあります。

 

完全競争市場と独占市場はどちらも両極端な場合であるわけですが、ほとんどの市場はその中間にあたる「独占的競争市場(monopolistically competitive market)」です。

独占的競争市場では、多くの企業が自由に市場に参入したり退出したりできますが、完全競争市場と違って、各企業は少しずつ異なる(差別化された)製品を生産しています。

独占的競争企業は、限界収入と限界費用が等しくなるような生産量を選択し、市場の需要曲線を基にして、その生産量を最も高く販売することができる価格を設定します。

ですから、短期的には独占的競争市場と独占市場はよく似ています。

しかし、正の利潤(=利益)が見込まれるときには企業が参入し、負の利潤(=損失)が見込まれるときには企業が退出するので、長期的には完全競争市場と同じく、すべての企業の利潤(経済学上の利潤)がゼロになるような企業数に調整されるということになります。

 

完全競争市場では、長期的にはすべての企業が効率的規模で生産していましたが、独占的競争市場では、長期的にはすべての企業が効率的規模より少なく生産することになります。

生産量を増やすことで平均総費用を減らすことができるのですが、販売量を増やすためには価格を下げる必要があるので、逆に損失が発生してしまうのですね。

独占的競争企業は限界費用を超える価格を設定するので、独占企業と同じように死荷重が生じることになります。

しかし、政府がこの非効率性を正確に測定したり補正したりすることは難しいので、公共政策によって市場のもたらす成果を改善することは困難です。

 

いくら市場メカニズムが優れているといっても完璧なわけではなく、政府の公共政策によっても改善が困難なところがあるというわけですね。

単純な市場原理主義に陥らないためにも、不完全競争について知っておくことは重要なことなのではないかと思います。

 

※注:2018年11月27日にAmebaブログにて投稿した記事を転載しています。