UNEMPLOYED ECONOMICS

失業中で暇な人が経済学を学んでいくブログです。

NHK BS1『戦慄の記録 インパール 完全版』

録画しておいたNHK BS1『戦慄の記録 インパール 完全版』を視聴しました。

 

これは恐ろしいです。

まさに「戦慄の記録」です。

日本軍による人肉食の証言も飛び出します。

実際に作戦に参加して生き残った兵士が、当時のことを描いた絵に書き込まれているセリフが恐ろしいです。

 

「早くやれよ」

「コイツまだ温かいよ」

 

・・・補給が途絶して極限の飢えに苦しんでいた前線部隊では、死んだ友軍兵士の肉を切り取って食べていたのです。

 

現在では無謀な作戦の代名詞ともなっている「インパール作戦」ですが、私は日本銀行の「異次元の金融緩和」政策も同じことなのではないかと考えています。

 

インパール作戦(異次元の金融緩和)は、第15軍司令官・牟田口廉也(むたぐち・れんや)中将(リフレ派の経済学者)により計画されました。

イギリス軍の拠点であるインパールを攻略すれば(インフレ率2%を達成すれば)、中国への補給路である「援蒋ルート」を遮断できるので、不利な戦局を一気に挽回することができる(低迷している日本経済を復活させることができる)と考えたのです。

しかし、インパールへ進軍するためには、川幅600mにも及ぶチンドウィン川を渡河し、標高2000m級のアラカン山脈を越えなければならないため補給がきわめて困難であり、インパール攻略は難しい(インフレ率2%達成は難しい)ことが予想されました。

 

実行部隊の指揮官白川方明(しらかわ・まさあき)前日銀総裁だけでなく、上級司令部にも反対意見を持つ参謀(反リフレ派の経済学者)が多くいましたが、大本営安倍内閣はこの計画を実行に移すことにします。

当初は3週間でインパールを攻略する(2年でインフレ率2%を達成する)予定でしたが、3ヵ月以上たっても攻略できず(5年以上たっても達成できず)に作戦は中止され、イギリス軍の追撃により撤退(出口戦略)時に壊滅的な損害を被ることになってしまいました。

 

命令に反して部隊を撤退させた第31師団長・佐藤幸徳(さとう・こうとく)中将は、死刑になることを覚悟の上で軍法会議で上層部の責任を追及しようと考えていましたが、「心神喪失」扱いにされて軍法会議が開かれることはありませんでした。

牟田口中将をはじめ、作戦を認可したビルマ方面軍司令官・河辺正三(かわべ・まさかず)中将、南方軍総司令官・寺内寿一(てらうち・ひさいち)元帥、参謀本部参謀総長杉山元(すぎやま・げん)元帥が重く責任を問われることは無く *1終戦時に自決したのも杉山元帥だけでした岩田規久男(いわた・きくお)前日銀副総裁は2年でインフレ率2%が達成できなければ辞任すると言っていましたが、任期満了まで5年間辞任することはありませんでした)

 

当時も、「本当にインパールは攻略できるのか?(インフレ率2%は達成できるのか?)」「そもそも、インパールを攻略することで戦局は好転するのか?(インフレを起こすことで経済は成長するのか?)」といった反論は多数あったと思われますが、「では、他に何か戦局を挽回する策があるのか?」と問われれば誰も答えられなかったはずです。

しかし、作戦を実行したことによる結果は重大で、3万人以上とされる戦病死者を出しただけでなく、3個師団が壊滅してビルマの防衛体制が崩壊したため、最終的にインド・ビルマ方面での戦没者は約19万人に達することになってしまいました。

もちろん、インパール作戦をやらなかったとしてもビルマ戦線は守りきれなかったでしょうが、イギリス軍相手に防衛戦をしている間に太平洋戦線で敗北して終戦となり、結果的に多くの将兵が日本へ帰還できた可能性が高いのではないかと考えられます。

 

現在は、前線部隊はインパールに迫っている(インフレ率2%に近づいている)が、補給が続かず作戦続行が困難になりつつある(大規模な金融緩和の継続が困難になりつつある)といった状況でしょうか。

牟田口中将、河辺中将は、作戦開始1~2ヵ月後には作戦が失敗であることを理解していましたが、互いに作戦中止を言い出せずに無謀な攻撃命令を出し続けたため、いたずらに損害を拡大してしまいました。

おそらく、黒田東彦(くろだ・はるひこ)日銀総裁安倍晋三(あべ・しんぞう)内閣総理大臣は、どのようにして「異次元の金融緩和」政策をやめるか考えていると思いますが、やめる時にはいろいろな問題が表面化してくるため、もはややめるにやめられないのでしょう。

 

「異次元の金融緩和」政策がインパール作戦と違うところは、「実行させたのは国民であり、国民がやめる決断もできる」というところです。

9月の自由民主党総裁選に出馬表明した石破茂(いしば・しげる)元幹事長は、大規模な金融緩和の継続に強い危機感を持っているようです。

私は自民党員ではないので投票できませんが、自民党員の人たちはよく考えて一票を投じた方がよいのではないかと思います。

 

※注:2018年8月12日にAmebaブログにて投稿した記事を転載しています。

*1:牟田口中将は予備役編入となったものの予科士官学校長に、河辺中将は大将に昇進して航空総軍司令官に、寺内元帥は南方軍総司令官を終戦まで続け、杉山元帥は陸軍大臣になっています。