UNEMPLOYED ECONOMICS

失業中で暇な人が経済学を学んでいくブログです。

国の一般会計基礎的財政収支(1996~2017年度)

ちょっと間が空いてしまいましたが、「日本は過去20年にわたって緊縮財政・・・って、本気で言ってるの!?」の記事で作成したグラフについての解説です。

 

unemployed-economics.hatenablog.jp

 

・・・とはいっても、いちいち以前の記事を見に行くのは面倒くさいと思いますので、収入面を含めてグラフを再作成してみました。

 

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出典:財務省財政統計(予算決算等データ)」「平成29年度決算

 

この基礎的財政収支プライマリーバランス)は国の一般会計を対象としているので、安倍内閣が「プライマリーバランス黒字化目標」としている「国と地方のプライマリーバランス」とは異なります。

 

基礎的財政収支対象経費については、歳出から国債費と決算不足補てん繰戻を除けばよいので特に問題はありませんが、悩むのは収入面についてです。

「租税及び印紙収入」と「その他の収入」に分けて表示していますが、その他の収入はどのように計算するのが正しいでしょうか?

 

今回は、「歳入-公債金収入 *1 -租税及び印紙収入-前年度までに発生した剰余金の使用残額-繰越歳出予算財源-決算調整資金受入」という計算式で求めています。

この計算式で求めると、内閣府中長期の経済財政に関する試算」の計数表とほぼ一致するのですが、2004年度と2005年度についてはなぜか一致しません。

内閣府の計数表では、2004年度については1.3兆円、2005年度については1.1兆円が、その他の収入と基礎的財政収支対象経費から引かれているのですが、この1.3兆円と1.1兆円が何なのかはよくわかりません(わかる人がいたら教えてほしいです・・・涙)。

 

また、それ以前の問題として、「-前年度までに発生した剰余金の使用残額-繰越歳出予算財源」という計算があまり正しくないように思います。

どういうことか詳しく説明すると、決算時には「収納済歳入額」と「支出済歳出額」との間に差額(「財政法第41条の剰余金」)が発生します。

この剰余金については、財政法第41条により翌年度の歳入に繰り入れることになっています。

1996年度以降で調べてみると、財政法第41条の剰余金と翌年度の「前年度剰余金受入」が一致しないのは2013年度だけです。

この時には、財政法第41条の剰余金の一部を「旧臨時軍事費特別会計」に繰り入れることにしたため、翌年度の前年度剰余金受入とは一致していません。

基本的に、財政法第41条の剰余金は翌年度の歳入に繰り入れるのですから、「-前年度までに発生した剰余金の使用残額-繰越歳出予算財源」ではなく、「-翌年度の歳入に繰り入れる剰余金(=翌年度の前年度剰余金受入)」が正しい計算のように思います。

 

要するに、「前年度から繰り越された剰余金を足して、翌年度に繰り越す剰余金を引く」という計算をするのが正しいのではないかということです。

どうやら内閣府では、「前年度から繰り越された剰余金は足すけれども、翌年度に繰り越す剰余金の一部を引かない」という計算をしているらしく、これではその他の収入が多く計算されてしまうため、基礎的財政収支の赤字が少なく計算されることになってしまいます。

翌年度の歳入に繰り入れる剰余金をすべて引くと、2017年度の基礎的財政収支は-9.9兆円→-11.0兆円、2016年度は-15.5兆円→-15.9兆円、2015年度は-12.1兆円→-12.5兆円となり、少ない年では数千億円、多い年では数兆円赤字が拡大します。

この剰余金の扱いですが、2015年2月に経済財政諮問会議に提出された資料までは、「前年度から繰り越された剰余金は足さず、翌年度に繰り越す剰余金も引かない」という方法で基礎的財政収支が計算されているようです。

これはこれで有りかなという気はしますが、「繰り越された金額を足して、繰り越す金額を引く」というのが一般的な会計方法だと思いますけどねぇ・・・。

 

基礎的財政収支は、「(歳入-公債金収入-前年度までに発生した剰余金の使用残額-繰越歳出予算財源-決算調整資金受入)-(歳出-国債費-決算不足補てん繰戻)」という計算式で求めています。

これは、「(税収及び印紙収入+その他の収入)-基礎的財政収支対象経費」という計算式と同じです。

前述のとおり、2004年度と2005年度のその他の収入と基礎的財政収支対象経費については内閣府の計数表と一致していませんが、収入と支出の両方から同額が引かれているため、基礎的財政収支については内閣府の計数表と完全に一致しています。

 

・・・というわけで今回のグラフは、「計算方法が少しおかしいなと思いつつ、内閣府の資料に合わせてある」ということだったのでした。

 

※注:2018年8月9日にAmebaブログにて投稿した記事を転載しています。

*1:公債金収入には、つなぎ公債発行による収入を含めて計算しています。