UNEMPLOYED ECONOMICS

失業中で暇な人が経済学を学んでいくブログです。

自民・西田昌司参院議員「所得制限のない子ども手当を」

自由民主党西田昌司(にしだ・しょうじ)参議院議員が、子ども手当の復活を主張しているみたいですね。

 


【西田昌司】内部留保を家庭へ~所得制限のない子ども手当を[桜H30/7/24]

 

子ども手当というのは、民主党社会民主党国民新党連立政権 *1 下の2010年4月~2012年3月に行われていた少子化対策のための政策で、15歳までの子ども一人につき月額1万3千円を支給していました。

民主党マニフェスト政権公約)では2010年度は月額1万3千円、2011年度以降は月額2万6千円を支給することになっていたのですが、財源が確保できなかったため、2011年度も月額1万3千円(10月からは月額1万円(3歳未満と12歳までの第3子以降は月額1万5千円))の支給でした。

しかし、それまでの児童手当では12歳までの子ども一人につき月額5千円(3歳未満と第3子以降は月額1万円)を支給していただけでしたから、これは少子化対策としては非常に大きな前進でした。

さらに、民主党子ども手当の財源として所得税の扶養控除と配偶者控除を廃止することにしていました *2 から、これは高所得者ほど得をする「所得控除」をやめて、低所得者にも恩恵の及ぶ「手当」に置き換えることを意味していました。

特に、配偶者控除は専業主婦を税制で優遇するというまったく意味不明な制度ですから、廃止することで得られる財源を少子化対策に投入するというのは、誰がどう考えても正しい政策です。

さらに、子ども手当には所得制限がありませんから、所得調査をする必要が無くなります。

当時はまだマイナンバー制度も無かったので、これは支給にかかる人員や費用を削減して、行政をスリム化できるということでした。

所得の多い世帯や子どものいない世帯にとっては増税となるので不満かもしれませんが、社会全体で見れば「一石三鳥」のような非常に優れた制度でした。

 

しかし、当時は野党だった自民党は、「子ども手当はバラマキだ!」と言って激しく批判していました。

特に、2010年7月の参院選自民党が勝利し、参院では与野党が逆転するいわゆる「ねじれ国会」になって以降は、特例公債法案に反対することで与党に何でも要求を呑ませることが可能になってしまいました。

特例公債法案が可決しなければ赤字国債を発行することができませんから、国の予算の大半が執行不能となり、財政が破綻してしまいます。

そのようなことになれば、日本経済も国民生活も大混乱ですから、最終的には自民党の要求を呑むしかありません。

自民党石原伸晃(いしはら・のぶてる)幹事長は、「子供を社会でつくろうというポル・ポト派と一緒の考えに与するわけにはいかない(2011年3月23日、産経ニュース)」と言って、子ども手当を廃止に追い込んでしまいました。

ポル・ポト派というのは、1970年代にカンボジアを制圧して大量虐殺を行った共産主義勢力です。

どうして少子化対策を行うことがポル・ポト派と一緒なのかまったく理解できませんが、安倍晋三(あべ・しんぞう)衆議院議員(現内閣総理大臣)も雑誌『WILL』(2010年7月号)で、『子ども手当によって、民主党が目指しているのは財政を破綻させることだけではなく、子育てを家族から奪い去り、国家や社会が行う子育ての国家化、社会化です。これは、実際にポル・ポトスターリンが行おうとしたことです。』と主張していました。

子ども手当で財政が破綻する!」と言いながら、自分たちは特例公債法案を成立させないことで、財政を本当に破綻寸前に追い込んでいたわけですね(苦笑)

 

西田議員も子ども手当には反対していて、2010年3月26日の参院本会議では「平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案」に反対票を投じています。

 


西田昌司「子ども手当は、究極の借金つけ回し。」

 

さらに、2011年3月31日の参院本会議では「平成二十三年東北地方太平洋沖地震等による災害からの復旧復興に資するための国会議員の歳費の月額の減額特例に関する法律案」にただ一人反対票を投じています。

この法案は、「東日本大震災の復興資金に充てるために、国会議員の歳費を半年間月額50万円カットしましょう」というものです。

それに対する西田議員の言い分は、「国会議員の歳費を削減する代わりに、子ども手当を廃止すればいい」というものでした。

こんな議員をネット上の「保守」の人たちは熱狂的に支持し、「銀狼」などというあだ名をつけて持て囃していたんですね(苦笑)

 

実際のところ、少子化については2010年の時点でほぼ手遅れの状態でした。

しかし、何もやらないよりは何かやった方がマシであったことは言うまでもありません。

2018年現在では、残念ながらもはや完全に手遅れです。

第二次ベビーブーマー団塊ジュニア)の女性が、出産適齢期を過ぎてしまっているからですね。

これから合計特殊出生率が多少改善したとしても、出産適齢期を迎える女性そのものが減少していくので、人口減には歯止めが掛かりません。

現在は安倍首相が外国人労働者の大量受け入れを進めていますが、こうなってしまうであろうことは誰の目にも明らかでした。

 

もはや完全に手遅れであるとはいえ、今からでも大規模な少子化対策を実施するべきなのではないかと思います。

少しでも少子化が改善すれば、それだけ将来的に外国人受け入れを少なくすることができますし、子育て世帯の消費性向は高いでしょうから、子育て世帯に所得移転することによって消費を増やし、デフレ脱却を目指すこともできます。

西田議員もようやく少子化対策の重要性に気づいたのかもしれませんが、現在ではマイナンバー制度があるので所得制限のある児童手当の拡充でも構わないわけで、この人は何周遅れの議論をしてるんでしょうか?

 

まったく「保守」の人たちは、わが国のいったい何を「保守」したいんでしょうかねぇ???

 

※注:2018年7月27日にAmebaブログにて投稿した記事を転載しています。

*1:社民党は2010年5月に政権離脱しています。

*2:年少扶養控除の廃止は、2010年度税制改正で実現しています。