UNEMPLOYED ECONOMICS

失業中で暇な人が経済学を学んでいくブログです。

NHK Eテレ『欲望の経済史 ~日本戦後編~』第4~最終回

録画しておいたNHK Eテレ『欲望の経済史 ~日本戦後編~』の第4~最終回を視聴しました。

 

第4回「ジャパン・アズ・ナンバーワンの夢 80s」、第5回「崩壊 失われた羅針盤 90s」、第6回「IT化グローバル化 改革の嵐の中で 0s」というサブタイトルで、1980年代・90年代・2000年代の日本経済の光と影を振り返るといった内容だったのですが、私としては少し物足りなく感じました。

第3回までが非常にわかりやすくて面白かっただけに、期待外れでちょっと残念ですねぇ・・・。

 

第4回以降は、経済史を外れて文化(特にサブカルチャー)に対する解説が多くなって、番組構成に疑問を持ちました。

一例を挙げると、忌野清志郎(いまわの・きよしろう)さんと坂本龍一(さかもと・りゅういち)さんの「い・け・な・いルージュマジック」のミュージックビデオが流れて、札束をばらまく演出にナレーションでも言及するのですが、これって経済史と何の関係があるのでしょうか?

これが、バブル景気(1986~1991年)の頃に作られたミュージックビデオなのであれば、当時の拝金主義を風刺した映像として使えるかもしれませんが、「い・け・な・いルージュマジック」は1982年ですから、バブルのだいぶ前なんですよね。

高度経済成長期の世相を表すものとして、植木等(うえき・ひとし)さんが「♪サラリーマンは~、気楽な稼業と~、きたもんだ!(「ドント節」)」と歌う映像を使うのは効果的だと思うんですが、「い・け・な・いルージュマジック」は80年代の世相を表しているような曲かなぁ・・・???

 

バブル景気は日本経済史上の非常に大きな出来事なので、そのきっかけとなった1985年のプラザ合意やその後の金融緩和について、もう少し詳しい解説があっても良かったのではないかと思います。

金融緩和といえば、日本銀行は1990年代には「ゼロ金利政策」、2000年代には「量的金融緩和政策」といった異例の政策を行なっているわけですが、番組では全く取り上げられていませんでしたね。

1990年代には公共事業による財政出動も盛んに行われたわけですが、これも全く取り上げられていませんでした。

従来のケインズ政策を駆使してもうまく経済が成長しなくなったというところが非常に大きなポイントだと思うのですが、ここを無視しているので、なぜ小泉内閣(2001~2006年)で新自由主義の考え方に基づいた「聖域なき構造改革」が行われたのかが、わかりにくくなってしまっています。

1980年代にも、中曽根内閣(1982~1987年)が新自由主義の考え方に基づいた改革を行ったわけですが、これもほとんど取り上げられていませんでした(日本電信電話公社の民営化については取り上げられていました)。

吉本隆明(よしもと・たかあき)さんと埴谷雄高(はにや・ゆたか)さんの「コム・デ・ギャルソン論争」とかはどうでもいいので、代わりに1980年代の新自由主義台頭を強調しても良かったのではないかと思います。

 

番組の最後で、坂井豊貴(さかい・とよたか)慶應義塾大学教授が「国家によるセーフティネットや富の再分配が重要ではないか」と述べていたのに対して、野口悠紀雄(のぐち・ゆきお)早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問は「規制の緩和が重要だ」と返していたのが印象的でした。

坂井豊貴さんが社会自由主義的な解決策を提示したのに対して、野口悠紀雄さんは新自由主義的な解決策を提示したわけですね。

さて皆さんは、今後の日本はどのような政策を採用するべきと考えるでしょうか?

 

※注:2018年4月8日にAmebaブログにて投稿した記事を転載しています。