UNEMPLOYED ECONOMICS

失業中で暇な人が経済学を学んでいくブログです。

NHK Eテレ『欲望の経済史 ~ルールが変わる時~』第3~最終回

録画しておいたNHK Eテレ『欲望の経済史 ~ルールが変わる時~』全6回を視聴し終わりました。

 

第3回は「勤勉という美徳 ~宗教改革の行方~」、第4回は「技術が人を動かす ~産業革命からフォーディズムへ~」、第5回は「大衆の夢のあとさき ~繰り返すバブル~」、最終回は「欲望が欲望を生む ~金融工学の果てに~」というタイトルで、最終回は総集編といった感じの内容でした。

 

第4回の「フォーディズム(fordism)」というのは、自動車会社のフォード・モーターを創設したヘンリー・フォード(Henry Ford, 1863-1947)の経営思想のことですが、従業員には高賃金を支払ったというところが面白いですよね。

普通の経営者ならば、利益を少しでも多くするために賃金は低く抑えようと考えるはず。

ところが、フォードは高賃金を支払うことで熟練労働者を確保しつつ、労働者の賃金水準を引き上げて自社のT型フォードを買えるようにしたんですね。

 

労働者は消費者でもあるという考えてみれば当たり前の事実なのですが、それをすっかり忘れてしまったのが、バブル崩壊後の日本だと思います。

バブル期に過剰な雇用を抱え込んだ日本企業は、正社員としての採用を極力絞り、非正規雇用の労働者を急激に増やしました。

1995年には、当時の日本経営者団体連盟(日経連) *1 が『新時代の「日本的経営」』と題する文書を発表していますが、そこでは従業員を「長期蓄積能力活用型グループ」「高度専門能力活用型グループ」「雇用柔軟型グループ」の3雇用形態に分けることが謳われていました。

要するに、これからは会社の基幹業務を行う「長期蓄積能力活用型グループ」だけを無期雇用の正社員として雇い、残りは有期雇用の非正社員に置き換えていくことを宣言したわけですね。

政府も派遣労働についての規制緩和を行うなどして、そのような経済界の動きを後押ししました。

 

そんなことをすれば、正社員として就職できない若者が激増します。

しかし、バブル期以前に入社した正社員にとってみれば、就職できない若者に痛みを押し付けることで、自分たちの「既得権益」を維持できることになったわけですね。

正社員として就職できず、仕方なく非正規雇用で働く若者に対しては、容赦なく「自己責任」「自由の代償」「働かない若者」などといった批判が浴びせられました。

正規雇用で昇給・昇進もなく、ボーナスもなければ退職金もない年収300万円未満の若者が、結婚して子供を作るというのは非常に難しい。

第二次ベビーブーマーを就職難が直撃したため、来たるべき「第三次ベビーブーム」は幻となって消え、日本は急激な少子化に苦しむことになります。

 

当たり前の話ですが、若年者は高齢者よりも消費意欲が活発です。

20代・30代はまだ賃金が低いかもしれませんが、正社員なら将来の収入増を見越して車を買ったり、家を買ったりできるでしょう。

これが非正規雇用で将来の収入増は見込めず、正規雇用への転換も極めて狭き門だったとしたら・・・???

当然、車や家といった高額商品には見向きもせず、日常品でもなるべく安い商品を探し求めますよね。

そのような階層が大量に出現したわけですから、物価はじわじわ下がっていくことになります。

これが「デフレ経済」の正体であって、日本銀行が金融緩和しなかったからデフレになったわけでも、政府が財政出動しなかったからデフレになったわけでもありません。

頭のおかしな自称経済評論家たちの罪が重いのは、「日銀が悪い!」「財務省が悪い!」などと悪者を仕立てあげることで、本当の原因である「経済的格差」の問題から人々の目を逸らしてしまうことですね。

 

どう考えても子育て世帯の消費性向は高いでしょうから、大規模な少子化対策を実施することによって所得再分配(富の再分配)を行い、少子化を食い止めつつ総需要を増加させてデフレ脱却を目指すという政策がよいのではないでしょうか。

自由民主党でも立憲民主党でも希望の党でもどこでもいいので、大規模な少子化対策を実施してくれる政党を応援したいと思っています。

 

※注:2018年3月24日にAmebaブログにて投稿した記事を転載しています。

5月7日には、希望の党民進党が合流する形で「国民民主党」が結党されています。

*1:2002年に経済団体連合会に統合されて、現在では日本経済団体連合会となっています。