UNEMPLOYED ECONOMICS

失業中で暇な人が経済学を学んでいくブログです。

NHK BS1『欲望の資本主義2018 ~闇の力が目覚める時~』

録画しておいたNHK BS1『欲望の資本主義2018 ~闇の力が目覚める時~』を視聴しました。

 

「資本主義は、その矛盾ゆえ滅びる」(カール・マルクス) 

「資本主義は、その成功ゆえに土台である社会制度を揺さぶり、自ら存続不能におちいる。社会主義へと向かう状況が「必然的に」訪れるのだ」(ヨーゼフ・シュンペーター

 

ヨーゼフ・シュンペーター(Joseph Alois Schumpeter, 1883-1950)は、1942年発表の著書『資本主義・社会主義・民主主義』において、資本主義はいずれ社会主義に移行していくと主張しているわけですね。

カール・マルクス(Karl Heinrich Marx, 1818-1883)が亡くなった年にシュンペーターは生まれているわけですが、二人とも似たようなことを言っているのが興味深いです。

しかし、本当に資本主義は崩壊して、社会主義に移行するんでしょうかねぇ???

私は、資本主義が社会主義的な考え方を取り込むことで、今後も発展し続けるのではないかと考えていますけどね。

 

シュンペーターは、イノベーションにより「創造的破壊」が起こることによって、資本主義経済は発展すると考えました。

日本では、イノベーションは「技術革新」と訳されることが多いですが、技術的なことに限らず、新しいアイディアを基にして新しいビジネスを生み出したりすることがイノベーションです。

そして、銀行家が「信用創造」してイノベーションに対して投資することで、資本主義経済は発展していくというわけですね。

イノベーションによって新たな物やサービスが提供されれば、人々の暮らしはどんどん豊かになっていきます。

問題なのは、創造的破壊が起こることによって、古いやり方で働いている人たちの仕事が奪われてしまうことです。

AI(人工知能)やロボットが進化していけば、人々の雇用を奪ってしまうかもしれません。

 

私は、この点については楽観的に考えています。

例えば、昔はそろばん(算盤)を使って経理事務を行っていました。

このころの経理事務員には、たぶんそろばんの技術と複式簿記の知識が求められたでしょう。

ところが、電卓が登場し、さらにはパソコンが普及して経理ソフトを用いて経理事務を行うようになると、そろばんの技術はもちろんのこと、簿記の知識もあまり必要ではなくなってきます。

昔は経理課長の下に経理課員が5人いて、みんなでそろばんを弾いていたとしても、今は経理課長の下にはパート事務員が1人だけになっているかもしれません。

これは、経理事務員の雇用が奪われたと考えることもできますが、経理以外のところに人的資源を投入できるようになったと考えることもできます。

 

これまでは、新技術によって人々の雇用が奪われても、別の雇用が生まれることによって解決されてきました。

おそらく、AIやロボットについても同じなのではないかと予想しているのですが、そうはならない可能性もあります。

番組では「ベーシック・インカム」が取り上げられていましたが、これはあまり良い解決策ではないように思います。

ベーシック・インカムの導入には莫大な財源が必要となるので、既存の社会保障制度を縮小・廃止する必要が出てきます。

既存の社会保障制度では、低所得者に対して手厚く支給されているので、それを一律支給のベーシック・インカムに置き換えてしまうと、低所得者への支給を減らして、高所得者への支給を増やすということになってしまいます。

 

より現実的なのは、「ワーク・シェアリング」と「給付付き税額控除」の導入なのではないでしょうか。

人間にとって労働は「生きがい」でもあるので、一人でも多く働けるようなシステムが望ましいですし、労働時間の削減はおそらく少子化対策としても有効です。

給付付き税額控除なら莫大な財源が必要となることもないので、既存の社会保障制度と併存させることが可能ですし、諸外国ではすでに導入済みなので、それほど実験的な政策でもありません。

 

結局のところ、私たちは資本主義経済の恩恵を受けているので、問題はあるにせよ、資本主義が続いたほうがよいような気がします。

ウィンストン・チャーチル(Sir Winston Leonard Spencer-Churchill, 1874-1965)風に言えば、「資本主義は最悪の経済形態と言うことが出来る。これまでに試みられてきた資本主義以外のあらゆる経済形態を除けば、だが。 *1 」といった感じでしょうか。

資本主義より社会主義のほうが良いと考えているのであれば別ですが、そうではないのであれば、資本主義を維持・発展させるためにはどうしたらよいのか、考えていく必要があるのではないかと思います。

 

※注:2018年2月(日にちを確認し忘れました・・・笑)にAmebaブログにて投稿した記事を転載しています。

*1:元ネタは「民主主義は最悪の政治形態と言うことが出来る。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば、だが。」です。