UNEMPLOYED ECONOMICS

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『マンキュー経済学Ⅰ ミクロ編(第3版)』第Ⅲ部読了

『マンキュー経済学Ⅰ ミクロ編(第3版)』(N・グレゴリー・マンキュー著、東洋経済新報社)の第Ⅲ部「市場と厚生」を読み終わったので、内容を軽くまとめておきたいと思います。

章立てとしては、第7~9章になります。

 

マンキュー経済学 I ミクロ編(第3版)

マンキュー経済学 I ミクロ編(第3版)

 

 

ここで扱われているのは、資源配分が経済的福祉にどのような影響を及ぼすかを研究する「厚生経済学(welfare economics)」と呼ばれる分野です。

 

買い手の支払い許容額から実際に支払った金額を差し引いた額を「消費者余剰(consumer surplus)」、売り手が受け取った金額から売り手の費用を差し引いた額を「生産者余剰(producer surplus)」と言います。

買い手はなるべく安く買いたいはずですし、売り手はなるべく高く売りたいはずですから、消費者余剰・生産者余剰は買い手と売り手がどれだけ得したかを表しているわけですね。

消費者余剰と生産者余剰を合わせたものを「総余剰(total surplus)」と言い、これが最大化されていれば資源配分が最も効率的ということになります。

結論としては、需要と供給のバランスによって価格が決まり、その価格によって需要と供給が均衡するように調整されたときに総余剰は最大となります。

やっぱり、誰かが資源配分を決めるよりも、市場メカニズムに任せた方が経済的厚生が向上するというわけですね。

もちろん、市場メカニズムがうまく働かない「市場の失敗(market failure)」と呼ばれるケースもあるわけで、このような場合には、公共政策による市場への介入が必要ということになります。

 

さらに、政府による課税について考えてみると、課税は消費者余剰・生産者余剰を減少させて、政府の税収を増加させることになります。

このとき、消費者余剰・生産者余剰の減少分は税収の増加分を上回るので、総余剰が減少してしまいます。

課税などにより、価格による需要と供給の均衡が阻害されることで生じる総余剰の減少を「死荷重(deadweight loss)」と呼びます。

課税だけでなく、前回取り上げた価格規制も、価格による需要と供給の均衡を阻害してしまうので、死荷重を生じてしまうわけですね。

 

さらに、国際貿易について考えてみると、ある商品について輸出国になると消費者余剰が減少して生産者余剰が増加し、輸入国になると消費者余剰が増加して生産者余剰が減少することになります。

輸出国になっても輸入国になっても総余剰は増加するので、貿易はお互いの国にとって得になることがわかります。

ここで貿易に関税をかけると、死荷重が発生して全体としての経済的厚生が悪化してしまいます。

しかし、輸入国になると生産者余剰が減少するのですから、生産者側は政治に圧力をかけて、何とかして関税をかけたり、輸入数量に上限(輸入割当て)を設けたりして、輸入を制限させようとするわけですね。

そこで、雇用の確保やら国家安全保障やらを持ち出して貿易制限政策を主張するわけですが、通常は自由貿易の方が国全体として得をするので良い政策であるということになります。

 

ですから、農家などが「環太平洋パートナーシップ協定(Trans-Pacific Partnership Agreement:TPP)」に反対するのは理にかなっていると言えますが、一般の消費者で反対している人はいったい何なんだろう???

経済学を学べば、トンチンカンな自由貿易反対論に惑わされずにすむようになるわけですね。

 

※注:2016年10月13日にAmebaブログにて投稿した記事を転載しています。