UNEMPLOYED ECONOMICS

失業中で暇な人が経済学を学んでいくブログです。

日本の潜在成長率(1986~2015年度)

私たち国民が必要としているのは、金融・財政政策による一時的な景気拡大ではなくて、成長戦略による持続的な経済成長のはずです。

しかし、なぜこんなにも日本は経済成長しなくなってしまったのでしょうか?

 

・・・というわけで、日本銀行ホームページで過去30年間の潜在成長率(前年比)を調べてみました。

 

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出典:日本銀行需給ギャップと潜在成長率

 

「潜在成長率」というのは、資本や労働力が平均的な水準で活用された場合 *1 に達成できると考えられる経済成長率のことです。

インフレやデフレを起こさずに、中長期的に持続可能な経済成長率を表しており、実際の経済成長率も同じような推移を示しています。

 

経済成長は「資本」「労働」「生産性」の3つの要素の伸びによるものなので、潜在成長率は「資本(資本ストック)」「労働(就業者数と労働時間)」「生産性(全要素生産性(Total Factor Productivity:TFP))」の伸び率の合計ということになります。

「資本ストック」というのは、国や企業などが保有している生産設備の総量のことです。

全要素生産性TFP)」というのは、資本や労働の投入量に対してどれだけの価値を生み出せるかを表したものです。

 

例えば、工場に新型の工作機械を導入したところ、それまで機械2台で行っていた作業が1台で済むようになった、二人いた工員も一人で済むようになった、そして以前より質の良い製品が作れるようになったとしましょう。

この場合、より少ない生産設備と労働力でより多くの価値を生み出しているわけですから、それだけ生産性が高まったと言えるわけですね。

 

結果は見ての通り、1980年代には4%以上あった潜在成長率が、今では0.5%すらありません。

すなわち、日本経済の成長力は急激に低下しており、高成長が望めるどころか、下手するとすぐにマイナス成長に陥ってしまうような状況です。

もちろん、潜在成長率の正確な推計は困難なので、ある程度幅を持って見ておく必要はありますが、かつてのような高度経済成長というのは難しいことがわかると思います。

アベノミクスでなんだか景気が良さそうなのに、実質経済成長率が非常に低い数字なのは、この辺りにも原因がありそうですね。

 

※注:2016年8月29日にAmebaブログにて投稿した記事を転載しています。

国民経済計算(GDP統計)の2008SNAへの移行に伴い、日銀が推計している潜在成長率についても見直しが行われて数値が改定されていますので、ご注意ください。

*1:「最大限に活用された場合」で計算する方法もありますが、日銀や内閣府の潜在成長率は「平均的な水準で活用された場合」で算出されています。