UNEMPLOYED ECONOMICS

失業中で暇な人が経済学を学んでいくブログです。

日本の公的固定資本形成(1994~2015年度)

では、90年代に猛烈に公共事業をやったにもかかわらず、なぜ日本経済はあまり良くならなかったのでしょうか?

 

まず、公共事業関係費には「用地費」が含まれますが、これはGDP国内総生産)にはカウントされません。

用地取得のためにいくら費用が掛かっても、これは付加価値を生み出さないので経済成長につながらないのですね。

前回の「乗数効果」の説明で、工事代金のほかに用地取得費100万円がかかっていたとすると、200万円の公共事業を行って250万の所得が生み出されたわけですから、乗数は1.25に過ぎないということになります。

 

・・・というわけで、内閣府ホームページで公的固定資本形成(名目値)を調べてみました。

 

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出典:内閣府国民経済計算(GDP統計)

 

公的固定資本形成(government fixed capital formation:Ig)というのは、国だけでなく地方公共団体や公的企業が行うすべての公共投資を表しています。

こちらは公共事業関係費と違い、GDPにカウントされない「用地費」は含まれません。

平成17年基準(1993SNA)のデータは1994年度までさかのぼれますので、今回は1994~2015年度のグラフを作ってみました(2015年度は2次速報値)。

 

結果は見ての通り、1995年度をピークとして、どんどん公共投資が減っていることがわかりますね。

しかし、まったく同じペースで公的固定資本形成の対名目GDP比率も下がっています。

どういうことかというと、この間の名目GDPはほとんど横ばいなので、公的固定資本形成が増減してもただGDPに占める比率が増減するだけで、GDPそのものにはあまり影響がないということなのですね。

 

このことからも、「公共事業をすれば経済が良くなる!」という主張が非常に怪しいものであることがわかります。

もちろん、公共事業によって一時的に景気が良くなることは事実ですから、景気変動の影響を抑えるために、不況時に集中して実施したりすることは必要でしょう。

しかし結局のところ、好不況にかかわらず必要な公共事業はやらなければならないし、不要な公共事業はやるべきではないということなのではないかと思います。

 

※注:2016年8月17日にAmebaブログにて投稿した記事を転載しています。