UNEMPLOYED ECONOMICS

失業中で暇な人が経済学を学んでいくブログです。

日本のマネーストック(2006~2016年)

では、日本銀行は猛烈に金融緩和しているのに、なぜいまいち効果が上がらないのでしょうか?

 

それは、「日銀が供給するお金=世の中に出回るお金」ではないからです。

日銀は民間金融機関から国債などを買い取って、日銀当座預金に代金を振り込むんでしたよね。

もしこの時に、民間銀行が企業への貸し出しを増やすなどすれば、そこでやっと世の中に出回るお金が増えるのです。

 

つまり、世の中に出回るお金のほとんどは、日銀が作っているのではなくて、民間銀行が作っているのですね。

これは民間銀行がこそっと1万円札を刷っているって意味ではなくて、銀行が100万円貸し出せば100万円のお金が生み出されるという意味です。

これは、銀行の「信用創造機能」と呼ばれていて、「金融仲介機能」「決済機能」とともに銀行の三大機能とされています。

 

ここでちょっと脱線しますが、一般的には「信用創造」について次のような説明がされています。

 

誰かがX銀行に100万円預金する

→X銀行は手元に10万円残して90万円をA社に貸し出す(支払準備率10%の場合)

→A社はその90万円でB社に支払いをする

→B社はY銀行に90万円預金する

→Y銀行は手元に9万円残して81万円をC社に貸し出す

→C社はその81万円でD社に支払いをする

→D社はZ銀行に81万円預金する

→Z銀行は手元に・・・(以下、この繰り返し)

→銀行の預金総額は、100万+90万+81万+・・・と増えていき、合計1,000万円に膨れ上がる(お金が生み出された!)

 

これは、C・A・フィリップス(Chester Arthur Phillips, 1882-1976)の信用創造論によるもので、ケインズ経済学で有名なジョン・メイナード・ケインズJohn Maynard Keynes, 1883-1946)も著書で同じような議論をしているので、日本での通説となっているようです。

 

・・・でも、この説明ってなんだかおかしくないですか?

銀行は預金の一部を貸し出しに回しているわけでなくて、信用を基に預金を生み出しているのではないでしょうか。

つまり、ちゃんと利子をつけて返してくれそうな相手を見つけて貸し出しをすることで、新たに預金を生み出している(お金を生み出している)のであって、最初に誰かが預けた預金とかはまったく関係ないと思うのですが・・・。

 

それはさておき、日本銀行ホームページで過去10年間のマネーストック(M3、平均残高)を調べてみました。

 

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出典:日本銀行マネーストック

 

マネーストック(money stock)というのは、金融機関・中央政府以外が保有する通貨の総量で、「経済全体に供給されている通貨量」を表しています。

どこまでを通貨に含めるかによって、「M1」「M2」「M3」「広義流動性」の4つの指標がありますが、今回は代表的な指標であるM3を見てみました。

2016年5月分が最新なので2006年6月分までさかのぼってみると、当時のマネーストックは1025兆6739億円であったことがわかります。

そこから右肩上がりに増えていって、最新の2016年5月は1256兆2974億円となっています。

 

うーん、確かに増えてますけど・・・(汗)

日銀の「量的・質的金融緩和(異次元の金融緩和)」でマネタリーベースが急激に増えているのに比べると、マネーストックの方はあんまり伸びてないことがわかりますね。

結局のところ、日銀が金融緩和でできるのはマネタリーベースを増やすことであって、マネーストックが増えるかどうかは民間銀行にかかっているということなのですね・・・。

 

※注:2016年6月30日にAmebaブログにて投稿した記事を転載しています。