UNEMPLOYED ECONOMICS

失業中で暇な人が経済学を学んでいくブログです。

『マンキュー経済学Ⅱ マクロ編(第3版)』第Ⅴ部読了

ちょっと間が空いてしまいましたが、『マンキュー経済学Ⅱ マクロ編(第3版)』(N・グレゴリー・マンキュー著、東洋経済新報社)の第Ⅴ部「開放経済のマクロ経済学」を読み終わったので、内容を軽くまとめておきたいと思います。

 

 

これまでは、モデルを単純化するために外国経済との相互作用がない「閉鎖経済(closed economy)」を仮定していましたが、第Ⅴ部では外国経済との相互作用が働く「開放経済(open economy)」で考えることとなります。

 

まず、「国民貯蓄(national saving:S)」「国内投資(investment:I)」「純資本流出(net capital outflow:NCO)」について・・・

 

S=I+NCO

 

・・・という恒等式が成り立っているので、貸付資金市場において、貸付資金の供給は国民貯蓄(S)から、貸付資金の需要は国内投資(I)と純資本流出(NCO)から生じることになります。

そして、実質利子率により、貸付資金の需要と供給が均衡するように調整されます。

次に、純資本流出と「純輸出(net exports:NX)」について・・・

 

NCO=NX

 

・・・という恒等式が成り立っているので、外国為替市場において、通貨の供給は純資本流出(NCO)から、通貨の需要は純輸出(NX)から生じることになります。

そして、実質為替相場により、通貨の需要と供給が均衡するように調整されます。

この二つの市場を結び付けているのが、純資本流出曲線ということになります。

 

・・・と説明しても、いまいちピンときませんね(汗)

正直言うと、私もこのモデルはいまいちよく理解できません(大汗)

 

このモデルによると、政府の財政赤字は国民貯蓄を減少させるため、貸付資金市場における貸付資金の供給が減少することになります。

その結果として実質利子率が上昇し、国内投資に対してクラウディング・アウトが発生します。

実質利子率の上昇は、さらに純資本流出を減少させて、外国為替市場における通貨の供給が減少することになります。

その結果として実質為替相場が増価し、貿易収支が悪化します。

このようなことが起きたのが1980年代のアメリカで、ロナルド・レーガン大統領の大幅な減税により巨額の財政赤字貿易赤字が発生し、「双子の赤字」と呼ばれました。

 

このように説明されると、なんだか正しいような気もするのですが・・・。

どうしても私には、「貸付資金市場において、需要と供給のバランスによって利子率が決まり、利子率によって需要と供給が均衡するように調整される」という考え方がよくわからないんですよねぇ・・・。

貸付資金の供給は市中銀行による信用創造で賄われるので、国民貯蓄は関係無いような気がするのですが?

そして、利子率をコントロールしているのは、中央銀行なのではないでしょうか?

このあたりの疑問は以前にまとめているので、よろしければ併せてご覧ください。

 

unemployed-economics.hatenablog.jp

 

マクロ経済学は、本当によくわからない・・・(滝汗)

私が抱いているような疑問に答えてくれるのが、ポストケインズ派経済学だったり、MMT(Modern Monetary Theory、現代貨幣理論)だったりするのかなぁ???

まずは主流派経済学を学びつつ、非主流派(異端派)経済学も学んでいく必要がありそうですね。

国際経済学についてもまだまだ理解が足りていないので、今後も勉強を続けていきたいと思っています。

『MMT[現代貨幣理論]がよくわかる本』

MMT[現代貨幣理論]がよくわかる本』(望月慎著、秀和システム)を読了しました。

 

 

MMT(Modern Monetary Theory、現代貨幣理論)」というのは、最近にわかに注目を浴びている経済理論で、いわゆる非主流派経済学、特にポストケインズ派経済学と呼ばれる経済学派からの影響を大きく受けている理論です。

MMTに強い影響を与えた経済学者としては、アルフレッド・ミッチェル‐イネス(Alfred Mitchell-Innes, 1864-1950)、ゲオルグ・フリードリヒ・クナップ(Georg Friedrich Knapp, 1842-1926)、ジョン・メイナード・ケインズJohn Maynard Keynes, 1883-1946)、アバ・ラーナー(Abba Lerner, 1903-1982)、ウェイン・ゴドリー(Wynne Godley, 1926-2010)、マルク・ラヴォア(Marc Lavoie, 1954-)、ハイマン・ミンスキー(Hyman Philip Minsky, 1919-1996)といった人物が挙げられます。

著者の望月慎(もちづき・しん)さんは、早くからネット上でMMTを紹介する記事を書いていて、俗に「MMT四天王」の一人と称されている人物ですね。

 

では、この本でどのようなことが解説されているかわかるように、目次を紹介しておきたいと思います。

 

第1章 MMTとは

第2章 租税貨幣論

第3章 機能的財政論

第4章 信用貨幣論・内生的貨幣供給理論

第5章 債務ヒエラルキー・債務ピラミッド

第6章 ストック・フロー一貫モデル

第7章 ジョブ・ギャランティ

第8章 MMTの開放経済(国際経済)分析

第9章 MMTによって防ぐことができる様々な誤り

第10章 MMTに関連する発展的な議論

 

MMTに関する基本的な論点が一通り網羅されており、とりあえずこの本を読めばMMTがどんな理論なのか、その概要を知ることができます。

 

今はまだ、この理論がすべて正しいのかは判断できませんが、基本的におかしな議論はなされていないようです。

とりあえず抑えておかなければならないのは、MMT派はリフレ派とは大きく考え方が異なるということです。

中央銀行の大規模な金融緩和によって期待インフレ率を引き上げ、実質金利を引き下げるというインフレ目標政策についても、MMT派はその効果について批判しているようですね。

さらに、MMT派は積極財政派とも異なるようです。

特に、「政府の通貨発行権を行使すれば、徴税しなくてもよい!」といった無税国家論の類とは、MMTは全く無関係です。

MMTでは、タックス・ドリブン・マネタリー・ビュー(Tax-Driven Monetary View)と呼ばれる考え方により「税が貨幣を駆動する」と主張しており、無税国家は原理的にあり得ないとしています。

世の中の多くのMMT批判は、MMTとトンデモ積極財政論を同一視してのものだと思いますが、MMTMMTを騙ったトンデモ積極財政論は別のものであることをしっかり理解しておく必要があると思います。

 

この本には、「MMTでは裁量的財政政策の採用は忌避される」といったことも記載されており、正直言って少し驚きました。

 

 MMTを引用しつつ裁量的財政政策を主張したり、あるいはその逆に、裁量的財政政策への批判をそのままMMT批判に転用したり、という錯誤が昨今目立ちますが、いずれもMMT(あるいはMMT派経済学者)に対する誤解に基づくものです。

 まして、あるインフレ率ないし名目GDPを目指して財政出動するなどといった政策方針は、決してMMTから理論的に導出されるものではありません。

 

この文章を読んだだけでも、「もしかすると、自分はMMTについて誤解していたかも?」と思う人は多いのではないでしょうか?

MMTでは裁量的財政政策ではなく、累進課税やジョブ・ギャランティ・プログラム(Job Guarantee Program:JGP、就業保証プログラム)などの自動安定化政策を志向しているのですね。

 

この本は、基本的に平易な文章で書かれていますが、内容的には必ずしも平易ではありません。

読みこなすためには、少なくとも基礎的な経済学の知識を必要とすると思いますが、それでも、特に反MMTの人にこそ読んでほしい一冊だと思いました。

放送大学『財政と現代の経済社会('19)』第14~15回

録画しておいた放送大学『財政と現代の経済社会('19)』の第14~15回を視聴しました。

 

第14回では「予算論」について、第15回ではこれまでの講義を踏まえて、21世紀のあるべき財政システムの未来像について学びました。

この講義を通じて学んだことは、政府の財政というのは、結局のところ「社会的価値」の選択の問題であるということ。

「限られた財政資源を、いったい何に投資すべきか?」という問題は、「私たちは、どのような国を目指すか?」という問題なのだろうということです。

 

私たち日本人が「持続可能な発展」を目指すためには、日本国を「公共投資国家」から「社会的投資国家」へと転換しなければなりません。

宇沢弘文(うざわ・ひろふみ、1928~2014年)は、自然環境・社会的インフラストラクチャー・制度資本を合わせて「社会的共通資本」と呼びました。

社会的共通資本は「公共財」としての性格を持つので、市場システムではうまく供給されません。

ですから、政府が財政支出することで、社会的共通資本に投資することが必要なわけですね。

政府の財政支出を「費用」ではなく、「投資」として捉えるということが、非常に重要な考え方なのではないかと思います。

 

この講義のテキストでは、資本主義経済の発展を支える資本として「社会資本」「自然資本」「社会関係資本」「人的資本」の4つが挙げられています。

社会資本は、電力・上下水道・鉄道網・道路網・港湾・電信電話網などのインフラストラクチャーを指します。

自然資本は、森林・漁業資源・良好な大気などの自然環境を指します。

社会関係資本は、ロバート・パットナム(Robert David Putnam, 1940-)らが提唱する資本概念で、社会の成員間での「信頼」や「互恵性」に基づいて形成されるネットワークを指します。

人的資本は、セオドア・シュルツ(Theodore William Schultz, 1902-1998)、ゲーリー・ベッカー(Gary Stanley Becker, 1930-2014)らにより開発された資本概念で、個人に体化された技能や知識を指します。

 

この中でも重要なのは、やはり「人的資本」なのではないでしょうか。

社会的投資国家においては、社会保障は「費用」ではなく、「人的資本への投資」として捉えられることになるわけですね。

残念ながら、日本は天然資源に恵まれていないので、資源は「人」しかないのではないかと思います。

教育や職業訓練を通じて、人的資本への投資を行うことによってしか、日本がこれからも経済成長していく道はないのでしょう。

2009年からの民主党政権では、「コンクリートから人へ」がスローガンとして掲げられていましたが、この方針はまったく間違っていなかったのだろうと思います。

日本経済が停滞しているのは、バブル崩壊後に新自由主義に基づいて雇用の非正規化が進められ、そのために人的資本がうまく蓄積されなかったからなのではないでしょうか。

正規雇用を拡大せざるを得ないのであれば、教育や職業訓練の機会を十分に確保するなどして、政府が人的資本に積極的に投資すべきだったのかもしれません。

 

この『財政と現代の経済社会('19)』は非常に面白かったのですが、「公債論」の部分がちょっと内容が薄いのではないかと感じました。

そもそもの問題として、日本の政府債務は維持可能なのか、基礎的財政収支プライマリーバランス)の黒字化を目指すべきなのか、よくわかりませんでした。

「日本は財政再建を目指すべきだ」という前提で議論が進んでいるようでしたが、MMT(Modern Monetary Theory、現代貨幣理論)のような考え方もあるわけで、積極的な投資によって経済成長できるのであれば、短期的な財政赤字は許容すべきなのかもしれません。

今のところ、中長期的には財政再建を目指すべきだと考えていますが、今後はこのあたりを重点的に学んでいきたいですね。

 

経済学や財政学に興味がある人にとって、この講義で基礎的な知識を得ることは非常に有用だと思います。

放送大学は無料で視聴できますので、放送大学生以外の人も興味のある分野について学んでみてはいかがでしょうか。