UNEMPLOYED ECONOMICS

失業中で暇な人が経済学を学んでいくブログです。

NHK Eテレ『ドキュランドへようこそ!「みんなのための資本論」』

録画しておいたNHK Eテレ『ドキュランドへようこそ!「みんなのための資本論」』を視聴しました。

 

資本論」といってもカール・マルクス(Karl Heinrich Marx, 1818-1883)の話ではなくて、ロバート・ライシュ(Robert Bernard Reich, 1946-)という経済学者の講義を基にしたドキュメンタリーです。

ロバート・ライシュビル・クリントン大統領時代に労働長官を務め、現在ではカリフォルニア大学バークレー校で公共政策大学院教授を務めている人物です。

2013年に『Inequality for all』という映画が公開されており *1 、どうやらそれを半分に短縮したものがこの番組のようですね。

 

内容としては、アメリカの格差社会を扱っています。

世界恐慌直前の1928年とリーマン・ショック直前の2007年に経済的格差はピークに達しており、それと反比例して富裕層への税率は低下している。

日本でも経済的格差の拡大は問題となっているわけで、他人事とは言えない内容ですね。

 

日本の所得税率の推移を調べてみると、1983年には所得税最高税率は75%(住民税を合わせた最高税率は93%)もありました。

ところが、1999年には所得税最高税率は37%(住民税を合わせた最高税率は50%)にまで引き下げられているんですね。

その代わりとして、所得の多寡にかかわらず課税される消費税が導入・増税されているわけですから、これでは経済的格差が拡大するのは当たり前です(汗)

私は消費税の増税には賛成していますが、同時に所得税累進課税も強化してほしいと考えています。

2015年からは所得税最高税率は45%(住民税を合わせた最高税率は55%)となっていますが、もう少し引き上げてもよいのではないでしょうか。

経済を支えているのは中間層の消費支出であるわけですから、いかにして経済的格差を小さくして中間層を増やすかが、日本経済再生の鍵だと思います。

はたして、自由民主党公明党政権は、そのような政策を採っているでしょうか?

かつての「一億総中流」と呼ばれたような日本社会を取り戻すことが必要で、そのような政策を採用してくれる政党を応援したいと、個人的には考えています。

 

とにかく、「他国のことだから」とはとても言えない内容で、できれば映画版も見てみたいと思いました。

しかし、残念なのは『みんなのための資本論』というタイトルですよね・・・。

資本論』といえば、誰でもカール・マルクスの著作を思い浮かべるわけですが、「政府による所得再分配(富の再分配)で経済的格差を是正する」というのは、社会主義でも共産主義でもなくて、普通に社会自由主義(リベラル)の主張なんですよね。

自由主義経済を維持・発展させたいのであれば、経済的格差を放置してはいけない」ということなんですが、なぜか現在の日本ではこのような主張はあまり支持されず、新自由主義を支持する人が多いようです。

 

今のところ再放送の予定はないようですが、一見の価値がありますので再放送の際には視聴することをお勧めします。

 

※注:2018年2月3日にAmebaブログにて投稿した記事を転載しています。

*1:日本公開は2015年、邦題は『みんなのための資本論

日本の実質賃金指数(2006~2016年)

では、アベノミクスによって実質賃金は上がっているのでしょうか、それとも下がっているのでしょうか。

 

・・・というわけで、厚生労働省ホームページで実質賃金指数(事業所規模5人以上)について調べてみました。

 

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出典:厚生労働省毎月勤労統計調査

 

厚労省ホームページには、2006~2016年の11年間のデータがありましたので、これをグラフにしてみました。

「実質賃金指数」というのは、名目賃金指数を消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)で割り、100を掛けたものです。

要するに、給与総額の指数を物価指数で割ることで、実質的に賃金が上がっているのか下がっているのかわかるというわけですね。

厚労省は「毎月勤労統計調査」を実施して、実質賃金指数を算出しています。

 

・・・結果は見ての通り、見事に賃金がダダ下がりしています(汗)

興味深いことに、2009年までと2013年からの自由民主党公明党政権期に実質賃金指数が急激に下がっています。

そして、民主党社会民主党国民新党政権期に実質賃金指数が持ち直しています(社民党は2010年5月に政権離脱)。

 

当たり前の話ですが、物価が下落する以上に名目賃金が下落したり、名目賃金が上昇する以上に物価が上昇したりすれば、実質的に国民は貧しくなってしまいます。

ネトウヨネット右翼)さんたちは、「民主党政権期に日本経済がガタガタになった!」と宣伝していますが、実質賃金指数を見る限りでは、どう考えても労働者の生活は自民党公明党政権期に苦しくなっています。

確かに、アベノミクスでいろいろな経済指数は良くなっているのですが、一般の労働者の実感は、このグラフの示す通りではないでしょうかねぇ・・・。

2016年はプラスに転じているので、今後は実質賃金も上がっていくのかもしれませんが、これではアベノミクスに対する反発が広がるのも致し方ないかもしれませんね。

 

明日は、いよいよ投票日。

あと一日しっかり考えて、投票先を決めたいと思っています。

 

※注:2017年10月21日にAmebaブログにて投稿した記事を転載しています。

立憲民主党・枝野幸男代表街頭演説(2017年10月14日)

10月14日に東京都新宿区の新宿駅東南口で行われた、立憲民主党枝野幸男(えだの・ゆきお)代表の街頭演説です。

 


枝野幸男氏(立憲民主党代表・衆議院議員候補) 街頭演説『立憲民主党』「東京大作戦 10.14(CDP Tokyo Democracy Convention)」2017.10.14 @新宿駅東南口

 

演説全文を聞きたい方は動画を見ていただくとして、私が気になったところをピックアップして文字起こししてみたいと思います。

 

(動画8:53くらいから)

30年前、派遣労働というのはむしろ手に職持って特別な技術を持って、どちらかと言えば恵まれた仕事のごく一部の人たちだけしか認められていなかったんです。

規制緩和は正義だということで、どんどんどんどん非正規を増やす派遣法を緩めてきた、それが今の日本社会です。

その前にやることがある。

サービス残業を無くす、ブラック企業を無くす、まず今の労働法制をしっかりと適用させろ、守らせろ。

残業代ゼロ法案、このまま安倍政権が圧勝すれば、残業しても残業代は払わないというまったくむちゃくちゃな法案の準備は出来上がっているんです。

やるべき方向は逆です。むしろ長時間労働をしっかりと規制する、そして派遣法を段階的に強化をしていく。

働いたらちゃんと給料がもらえる。働くというのは希望をすれば正社員で働くんだという、30年前は当たり前だったまっとうな仕組みを取り戻そうではありませんか。

 

枝野代表が、労働者派遣法の改正に言及していますね。

1986年に施行された労働者派遣法は、ソフトウェア開発や通訳など、特別な技能を必要とする13業務にのみ労働者派遣を認めていました。

しかし、どんどん規制が緩められていって、1999年には派遣できる業務が原則自由化されます。

そして2004年には、ついに製造業への派遣も解禁されてしまいました。

 

安い賃金で雇えて、ボーナスを支払う必要も退職金を支払う必要もなく、要らなくなったらいつでもクビにできるわけですから、企業側からしてみればこんなに都合の良い制度はないですよね。

当然のこととして、それまで正社員として雇っていた人たちをリストラして、派遣に置き換えようとします。

結果として、正社員として働ける人はどんどん少なくなっていってしまうわけです。

収入の少ない労働者が増えるわけですから、安い商品ほどよく売れるようになります。

物価がじわじわと下がっていく、デフレ(デフレーション)の原因はここにあるのですね。

 

ネット上には、「日本銀行が金融緩和してインフレにすればいい!」とか、「政府が財政出動してインフレにすればいい!」とか、トンチンカンなことを言っている人たちがたくさんいます。

無理やりインフレを起こしても問題は解決せず、労働者の実質賃金が上昇し、消費が増えることによって自然にインフレになるのでなければ、あまり意味がないのではないでしょうか。

もし、労働者一人ひとりの収入が上がらずに物価ばかりが上がったら、一般庶民の生活は苦しくなる一方ですよ。

 

経営者側の立場に立つ政党としてはすでに自由民主党が存在しているので、労働者側の立場に立つ政党が必要だと思います。

行き過ぎた労働規制緩和はデフレをもたらしてしまい、経済成長を阻害してしまうので国民を豊かにしません。

これからも労働分野の規制緩和を続けていくのか、それとも規制緩和をやめて労働法制を強化していくのか、しっかり考えて一票を投じたほうがよいのではないかと思います。

 

※注:2017年10月15日にAmebaブログにて投稿した記事を転載しています。